著者
宮崎 興二
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.21-30, 1971 (Released:2010-08-25)
参考文献数
15
著者
今間 俊博 斎藤 隆文 阿部 翔悟
出版者
Japan Society for Graphic Science
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.13-23, 2013-09-01
被引用文献数
2

本研究の最終目的は,労働集約型産業であるアニメーション制作の効率を上げ,映像としての作品の品質を向上させるために,作業のコンピュータ化を行う事である.これまでに,日本式アニメーションが持つ様々な要素を,モーションキャプチャと3DCGによって成立させるために,必要となる基礎的な研究を行って来た.その中で注目すべき点は,モーションキャプチャが捉える物理的な動きと,2次元セルアニメにおける視聴者への受け取られ方の問題がある.これは,物理的な真実である「リアル」と,人間が感じる真実味である「リアリティ」が必ずしも一致しない場合があるという問題でアニメーション制作において重要な要素のひとつである.さらに,映像上のリアリティを向上させるために施される,アニメーション映像における誇張表現の手法と適応度合い,および適用範囲についての取り組みとしての,モーションフィルター技術があげられる.また,現状のトゥーンシェーディングの品質と自由度の向上も重要な要素である. 本論文では,モーションキャプチャによって得られる動きをグループに分類分けし,各々の動きにおける誇張表現の方法と程度について,日本式2次元セルアニメに適用する方法を確定させる事を目的としている.
著者
福井 美弥 阿部 浩和
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.3-9, 2013 (Released:2014-12-01)
参考文献数
8
被引用文献数
9

本稿では,近年,自由記述分析において用いられるようになったテキストマイニングにおいて,語と語のつながり関係や出現パターンの類似度に着目し描画された共起ネットワーク図の図的特徴を把握し,様々な文体の傾向を分析した.その結果,論文(建築計画),説明書は他の文体に比べ,リンク数,コミュニティ数,固定図形数などの評価項目の平均値において高い値をとっており,共起する語句が多く,それらが複雑に絡み合った文章であること,小説やエッセイは2回以上出現している語句が少なく,共起語句も少ないことから場面展開の多い文体であること,ブログ記事も多くの項目でこれらと類似しているものの,コミュニティ数ではニュース欄と類似しており,固定図形数の割合は説明書や社説欄よりも高いことから,文章中の話題(論点)の纏まりは少ないが3語以上の繋がりが多い文章であること,社説欄とニュース欄は,多くの項目において類似の傾向を示していることなどを示した.
著者
牟田 淳
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.9, 2018 (Released:2019-03-01)
参考文献数
18

人々がどのような縦横比の長方形を好むかについて,日本並びに欧米において各々参加者千人程度の調査を行った.縦横比1,1.2,1.41,1.62,1.8, 2の6種類の長方形から好みの長方形を調査した.縦横比の重要性を判定するため,これら6種類の縦横比の長方形に対して, 4通りの場合について好みの長方形を各々調べた.その結果欧米では好みの長方形が有意に黄金比矩形である場合とそうでない場合が得られた.日本では有意に縦横比1.41(≈√2)の長方形が正方形より好まれる地域があったが,日本全体で見ると4通り全ての場合に於いて正方形が有意に好まれる結果が得られた.
著者
堤 江美子 相原 多恵 飯岡 直美
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.31, no.Supplement, pp.127-132, 1997 (Released:2010-08-25)
参考文献数
8

人体の外形のから判断される体つきが、どのように生物学的妥当性をもった特徴と一致しているのか調べるために、成人女子68名の体幹部を対象に三次元計測と生体計測を行い、佐藤の「一般形状に関する5つの擬距離尺度」による体形分類と、生体計測直から計算できるように修正を加えたSheldonの「器官発生にもとづくソマトタイプ」による体型分類との関係を検討して視覚的な体つきの類型について考察した。佐藤の擬距離尺度のクラスタ分析からは、物体の垂直方向の長さの変異について体幹部の「細長/短厚」が、物体断面の局部的な大きさの相違については「肩部や胸部、胴部など局部的な発達の違い」が、物体の垂直軸からのずれ具合については「姿勢」が、そして「断面の形状の変異」もあわせて4つの特徴が外形より解釈された。また、ソマトタイプからは「多くの脂肪を蓄えた特有の丸みを帯びた体型」、「がっしりした肩部と胸部を備え、四肢は固い筋肉からなる体型」、「ほとんど筋肉や脂肪をもたず、神経系が発達している体型」が生体計測直から算出された。擬距離による各形状特徴について、クラスタ間のソマトタイプの平均値の差の検定を行った結果、外形の見え方と実際の生物学的な内容との間の関連性について以下のような結果を得た。(1) 細長/短厚に相当する特徴は、骨や筋、特に筋の発達と関連性があり、肩部や胸部の充実したがっちりした体つき、あるいは、その逆がこの特徴を印象づける大きな要因と考えられた。(2) 肩・胸・胴部のプロポーションの違いに相当する特徴は、脂肪・筋肉を合わせた充実度と関係があるようだ。(3) 姿勢の変異に相当する特徴は、骨や筋、特に筋の発達と関連性があり、一般に、姿勢の悪さは主として脊柱の前弯の強さと受け取られがちだが、背面における筋や脂肪の充実具合もその一因であることが理解された。
著者
長島 忍
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.15-19, 1985 (Released:2010-08-25)
参考文献数
4

In computer graphics and geometric modeling, polyhedron's inside test, a determination whether a given point lies inside or outside a polyhedron, plays an important role. However, this cannot be realized easily. Since former methods have some difficulties, a yew method of design is introduced in this papaer.When all polygons of polyhedron's faces are projected ont.o a sphere whose center lies on the given point with radius of 1, the sum of area becomes 4π i f the point lies inside the polyhedron. Otherwise, this becomes 0. Though it is difficult to calculate an area of the polygon on the sphere, it can be calculated by dividing the polygon into triangles.This new algorithm of inside test was programmed and applied to two kinds of object, one, a cube and the other an octagonal prism. As a result, the errors of area's calculation for 4π was under 0.03%. These figures confirms that the test can be applied to rather complex objects.
著者
朝倉 恵美 面出 和子
出版者
Japan Society for Graphic Science
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.11-18, 2013

受胎告知は,大天使ガブリエルがマリアに,主によるイエスの懐妊を告知する新約聖書中の教義である.しかし,受胎告知図は,典拠に具体的で詳細な説明がなかったため,画家によって様々に解釈され,創作されてきた.本研究では,中世から近代までに描かれた多くの《受胎告知》のうち,絵画を213点収集し,《受胎告知》における空間表現を年代別,地域別に分類した.さらに,それらの絵画空間を図学的に考察した.その結果,地域,時代によって表現は変化しており、ルネサンス以降のイタリアでは, アルベルティの理論の影響が大きかったと考えられる.また,一点透視図的に描かれた作品は153点あったが,画面上の消失点の位置を,イタリアと北ヨーロッパ地域の作品で比較すると,イタリアではマリアと同じような高さであり,北ヨーロッパでは下方にあって,情景全体を見下ろすような視覚で描かれるような異なった特徴が見受けられた.
著者
舘 知宏
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.51, no.50thAnniversary, pp.81-83, 2017-07-10 (Released:2018-08-01)
著者
小山 清男
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.39-44, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
8
著者
早坂 洋史 森田 克己 松岡 龍介
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.35, no.Supplement, pp.57-58, 2001 (Released:2010-08-25)
参考文献数
1

図形認識力における男女差は、よく知られているにも拘わらず、その理由は必ずしも明白ではなかったように思われる。A.Peaseらは、彼らの著書『話を聞かない男、地図が読めない女』の中で、人は性によって異なった構造の脳、いわゆる男脳と女脳を有しているとし、その構造の違いにより種々のシチュエーションでの行動パターンが異なっているとしている。例えば、一般的に女性は男性に比べ地図を読むのが苦手だったり、方向音痴だったりするのは、この脳の構造の違いによるものとしている。もしこれが本当ならば、特に図形を取り扱う図形科学系の授業でも、この男脳・女脳を考慮しての教授法の展開が必要となってくると考えられる。本報告では、A.Peaseらが提案している、男脳・女脳テストを紹介すると共に、男脳・女脳テストを著者らが所属する大学で実施した結果につき述べる。男脳・女脳テストの被験者数は、三つの大学で合計257名 (男109名、女148名) であった。テスト結果の点数により、男脳・女脳の分布図を作成した結果、男脳・女脳のオーバーラップ域 (150~180点) に約1/3の学生が含まれること、この範囲を男脳側に20点広げ、130~180点とすると、約半数が含まれること、男性のみの傾向としては、男脳側の130点と90点にピークを有すること、女性のみの傾向として、オーバーラップ上限値の180点と男脳域の100点の両方に二つのピークを有することなどがわかった。また、北海道大学社会工学系の学生 (男35名、女10名) の傾向と上述の全体傾向との比較の結果、約8割弱は男性であるにも拘わらず、オーバーラップ上限の180点にピークを有し、80~230点までの広範な学生層であることなどが明らかになった。今後の課題としては、男脳・女脳テスト結果と図形科学の成績や切断面実形視テスト (MCT) の点数などとの関連性、専攻の違いによる男脳・女脳テスト結果の違いや傾向、などについての詳細な検討は、今後の課題である。
著者
面出 和子
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Supplement1, pp.179-184, 2008 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10

参詣曼荼羅として, 社寺や名所を案内するために地図のように描かれた表現がある.それらは正確な地図ではなく, 見える風景を描いたものでもないが, 画面の中に社寺の建物や名所の位置関係をわかりやすく示している.本研究では, 地図のように描かれた≪富士参詣曼荼羅図≫と≪熊野那智参詣曼荼羅≫を対象にして, その描かれた空間の歪みについて, 図法の検討および実際の地形図との比較から, 表現の特徴を図学的な視点を通して考察する.結果として, 2つの参詣曼荼羅に描かれた建物は, 図法的にみると, 斜投象と軸測投象的な表現を一画面に混在させ, その俯瞰する視線の角度も多様であり, それらが歪みを生じさせている.また地形図との比較によって, 参詣の道筋は圧縮または伸張され, 参道の形が変形している.しかしながら, それらの歪みは霞や雲を描くことによって, 空間を遮断して地形の連続性を曖昧にしながら辻褄を合わせている.これらのことから, この歪みを伴う空間表現は, 地形図または実際の空間とは位相幾何学的な関係を示していると言えるが, 参詣を誘致する案内絵図として機能を果たしたと思われる.
著者
長 聖 佐藤 尚
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Supplement1, pp.99-102, 2008 (Released:2010-08-25)
参考文献数
3

現在のセルアニメーションの多くは制作にコンピュータを利用し自動的に補間, 生成する手法も取り入られてきている.そこで問題なのが, アナログ的なセルアニメとこれらの生成物の合成には違和感があることである.それはコンピュータによる自動生成された中割と人の手によって作られた中割との差が違和感の原因ではないかと考えた.そこで我々は既存のCGアニメーションにも適用できるようセルアニメの特徴を考慮しつつ不必要なフレームを削除することによりその差異をなくす手法を開発した.
著者
今間 俊博 近藤 邦雄 栗山 仁 古家 嘉之
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.3-10, 2005 (Released:2010-08-25)
参考文献数
7

物理法則に則ったコンピュータシミュレーションによって生成された物体運動は, しばしば観客にとって不自然なものに映ることがある.アニメーションの中で用いられる誇張表現は, 映像表現における演出的な効果を受け持つだけではなく, こうした観客の持つ違和感を打ち消すのに役立つ.こうした現象は, 物理法則的な物体運動と, 人間が知覚しうる物体運動の間に何かしらの差異があると考えることによってうまく説明できる.物理法則には必ずしも則っていないが, 人間がリアルに感じる動きのことを本研究では「メンタルモーション」と呼ぶこととした.本論文では, モーションキャプチャシステムを用いて得られた, 物理的に正確な動作を用いて, メンタルモーションを生成する動作誇張手法を提案する.
著者
奈尾 信英
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.3-8, 2004-06-01
被引用文献数
1

本研究は, イタリアの盛期ルネサンスを代表する建築家の一人バルダッサーレ・ペルッツィが1533年に描いた「サン・ピエトロ大聖堂の計画のための鳥瞰図」を分析対象とし, ルネサンス期のイタリアにおける透視図法の展開過程を考察したものである.考察手順は以下の通りである.1) この図における消点を推定し, それにもとついてこの図を描く際に用いられたであろう作図線を推定復元する.2) イタリアの建築家ジャコモ・バロッツイ・ダ・ヴィニョーラ (1507年-1573年) の著作『実践的透視図法に関する2つの解法』 (1583年) のなかで, ペルッツイの透視図法について記述された文章を鑑み, ペルッツイの作図法を想定する.考察の結果, ペルッツイの用いた作図法は対角線を用いて, さきに描く図そのものの上下寸法を設定することによって, 必然的に図の横寸法が確定される方法であったと考えられる.
著者
倉田 和夫 島森 功
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Supplement2, pp.5-10, 2006 (Released:2010-08-25)
参考文献数
1

本稿は、CG、Webデザイン、映像編集などコンピュータを使うデジタルデザイン分野において共通するスキルとしてプログラミング能力が要求されるようになってきていることから、情報系の短期大学でデザインを専攻する学生へのプログラミング入門教育の新しい試みとしてCGソフトPOV-Rayを使ってプログラミングの思考法を理解させる教育事例を報告する。

2 0 0 0 OA 直弧文考

著者
小山 清男
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Supplement1, pp.151-156, 2005 (Released:2010-08-25)
参考文献数
4

わが国古墳時代に, 「直弧文」という独特な文様がある。なぜか他国にその類例がなく, また6世紀後半以後, 国内にもそれを伝承するものはみられない。その定形は装飾古墳の石障, 石棺などに施されたもので, 正方形に近い方形を枠として, その2本の対角線と, 帯状のテープがからみ合った図柄である。また貝輪などの装飾に施されたものは, 方形の枠はなく, 不整形な文様となっている。その構成はひじょうに複雑であり, しかも動きの表現, とくにほとんどが回転運動をあらわしている。ここではそれらの代表的な作例3点について, できるだけ具体的に, 分析, 考察して, その特質を明らかにしようとする試みを述べる。
著者
福江 良純
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2-3, pp.25-35, 2013 (Released:2014-09-01)
参考文献数
18

本研究は,これまで芸術の解釈で一般的であった作品批評によらず,芸術を人間意識が含まれた現象として扱うことで,作品が構造化される仕組みを明らかにしていくものである.ここでは,立体と平面を次元の観点で対照的に捉えるのではなく,両者の間に働く機能に注目することで,その関係を総合的に捉えた.空間の2次元化は投影の典型的機能であり,それが伝統的に絵画の構造を決定してきた.その機能をふまえ,セザンヌの絵画論に端緒を持つキュビスムの構造が,本質的に絵画の条件を超え,実空間及び立体と等しいことを明らかにする.本稿はそこよりさらに,実空間のうちに働く時間についても言及し,近代芸術の理念に関する解釈にも展望を示す.