- 著者
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加野 草平
西間 三馨
- 出版者
- Japanese Society of Pediatric Pulmonology
- 雑誌
- 日本小児呼吸器疾患学会雑誌 (ISSN:09183876)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, no.1, pp.73-77, 1990
全国の大学病院ならびに日本小児呼吸器疾患学会参加施設 (計265施設) に対し小児の在宅酸素療法 (HOT) に関するアンケート調査を行なった。HOT対象児は106例 (男63例, 女43例) で, 平均年齢は5.2歳, 67.9%が5歳以下の症例であった。対象疾患では, 呼吸器疾患が61例 (57.5%) と最も多く, 心血管系疾患35例 (33.0%), 多発奇形および神経筋疾患12例 (11.3%) であった。HOT開始時の動脈血液ガス所見では, 大気吸入下でPaO<SUB>2</SUB>48.5±15.0mmHg, PacO<SUB>2</SUB>46.3±12.5mmHg (n=59) であった。酸素供給源の種類は, 吸着型酸素濃縮器が68例 (64.2%) と最も多く, 膜型28例 (26.4%), 酸素ボンベ13例 (12.3%) であった。HOT施行例の転帰については, 死亡18例 (17.0%) で, 病状の改善によるHOT中止例が30例 (28.3%) 存在していた。小児のHOTの特徴として, 低年齢児, 小児特有の疾患を対象とすることが多く, また将来HOTを中止できる症例がかなり存在すること等があげられる。