著者
仲地 律雄
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.172-180, 1988
被引用文献数
1

部分てんかん患者にみられる二次てんかん原性焦点の形成機序を研究するために16匹のネコを用いて, 原焦点側 (一次側) 腹側海馬破壊 (5匹), 正中離断 (6匹), 一次側脳弓破壊 (5匹) が扁桃核キンドリング形成に伴う反対側扁桃核への転移現象に及ぼす影響を検討した。<BR>1) 腹側海馬破壊では, 歯状回から海馬錐体細胞に向かう苔状線維がほぼ完全に破壊されていたネコ4匹で転移形成が阻止されたが, 部分破壊に留まった1匹では転移がみられた。<BR>2) 正中離断では6匹中3匹で転移形成が阻止されたが, 脳梁・海馬交連の離断範囲とは一定の関係がなく, この3匹ではいずれも一次側脳弓が完全に破壊されていた。<BR>3) 脳弓破壊では, 一次側脳弓がほぼ完全に破壊されていた4匹で転移形成が阻止されたが, 部分破壊に留まった1匹では転移がみられた。<BR>以上の成績から, 一側扁桃核キンドリングの反対側同部への転移現象に海馬が重要な役割を果たしていると考えられ, 海馬遠心路のうちでは海馬交連を介する経路よりも脳弓を介する経路が重要と考えられた。

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