著者
小川 浩平
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 = The Japanese journal of ergonomics (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.90-95, 2011-06-15

縦横比に関する美的な安心感の程度(=美的安心度)を安定性の尺度と正規性の尺度の積で表されると仮定して情報エントロピーを導入して定義した.自然や芸術の分野で美しく完璧な縦横比と言われる黄金比,白金比,白銀比のいずれもこの美的安心度が比較的高い値をとることを明らかにするとともに,この美的安心度が最大となる縦横比0.705は大和比とも言われる白銀比0.707とほぼ一致することから,白銀比に明確な一つの論理的裏付けを与えることができた.また,三原色のうちの2色あるいは黒色と白色をこの最大美的安心度となる比率で混ぜた新たな混色を提案した.これらの新たに提案した混色は人間に優れた美的な安心感を与えると推測可能であるが,その根拠については今後の定量的・論理的研究に委ねた.これらの新たに示した縦横比およびそれに基づく混色は,さまざまなデザインを行う上で有用な情報を与えると考えられる.

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