著者
中嶋 蘭
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.283-283, 2012

【背景】抗MDA5抗体は皮膚筋炎特異抗体であり,急速進行性間質性肺炎の頻度が高く予後不良であるなど特徴的な臨床像を示す.血清フェリチン高値・肝胆道系酵素上昇・血球減少・血清IL-6高値などからマクロファージ活性化が本抗体陽性例の病態に関連する可能性が示唆される.そこで本抗体陽性例における血清サイトカインの特徴を調べるとともに,多剤併用免疫抑制療法(新規レジメン)による効果を検討した.【方法】抗MDA5抗体陽性例(n=24)と陰性DM(n=23)の治療前血清サイトカインをELISAで測定した.抗MDA5抗体陽性例に新規レジメン(ステロイド大量・シクロスポリン・シクロホスファミド大量静注(IVCY))併用治療を適応し(n=12),従来治療群(n=14)と生存率を比較した.【結果】抗MDA5抗体陽性例は血清IL-6,IL-10,M-CSFが有意に高値を示し,IL-12,IL-22は低値を示した.同抗体陽性例において,新規レジメン治療群の生存率は従来治療群に比べて有意に高かった(6ヶ月生存率:75.0% vs. 28.6%,p=0.038).新規レジメン治療群ではIVCY後に血清フェリチンが一時的に低下し,生存例は連用により安定して低下した.【結語】抗MDA5抗体陽性例ではマクロファージ活性化病態が示唆され,早期にIVCYを中心とする多剤併用免疫抑制療法を施行するべきである.<br>

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