著者
児玉 浩子
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.546-551, 2013

小児の栄養・食の問題としては、従来から肥満・生活習慣病の増加、やせの増加、朝食欠食、孤食、偏食、よく噛まないなどが指摘されている。肥満児の出現率は、平成18年をピークとしてやや減少傾向にあるが、平成23年度でも15歳男子で11.99%、女子で8.26%と高い。さらに、2型糖尿病など生活習慣病に罹患している肥満小児も多い。やせの増加も問題である。15歳男子で2.6%、13歳女子で3.91%が痩せ傾向児である。やせ女子は将来妊娠した場合に低出生体重児を出産する率が高い。低出生体重児は将来肥満や生活習慣病に罹患しやすい体質になると言われている。朝食欠食や孤食は、肥満の要因になるだけでなく、学習・運動能力、精神発達、コミュニケーション能力にも悪影響をきたす。 小児においては、食育が、将来的に健全な食生活を送るようになるために極めて重要である。食育とは、「さまざまな経験を通して"食"に関する知識と"食"を選択する力を習得して、健全な食生活を実践できる人を育てること」と定義されており、体育・知育・徳育の土台となるものである。 平成23年に発表された第2次食育推進基本計画では、重点3項目として1)ライフステージに応じた間断なき食育の推進、2)生活習慣病の予防及び改善につながる食育の推進、3)家庭における共食を通じた子どもへの食育の推進が示された。「団欒のある食卓」が小児の精神発達にとっても極めて重要である。 学校や保育所で食育が推進されている。栄養教諭は年々増加しているが、平成24年4月現在、公立学校での栄養教諭配置は47都道府県で4,263人に過ぎない。栄養教諭のさらなる増員が望まれる。さらに、食育を真に推進するには、学校・地域・家庭など子供を取り巻くあらゆる場所で、関係者が協力して食育に取り組むことが必要である。

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