著者
中島 龍夫
出版者
Japanese Cleft Palate Association
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.259-268, 2013

著者の片側唇裂初回手術にたいするこだわりは1)横方向の縫合線を避け,人中稜に沿った直線にする。2)出生後早期の手術で出来るだけ多くの問題を解決する。3)後日再手術がやりにくくなるような複雑なデザインは避ける。4)鼻筋,口輪筋の正確な同定縫合による口唇外鼻の形態改善。5)初回手術時と同時に行う外鼻形成術。などである。この趣旨に沿うべく今回報告した方法は1)鼻翼基部周囲の皮弁の内脚隆起後方への移動。2)Vermillion borderの上部で皮弁を利用せず被裂縁に弓状の組織欠損を作成し互いに縫合する。3)鼻筋の同定と矯正位への固定。4)外鼻形成。の4点に要約される。今回報告した方法によると術後の縫合線は人中稜の走行に沿った直線となり,長期の経過観察例でも縫合線は目立ちにくく,外鼻と鼻翼部の形態も良好であった。手術法を具体的に解説し本法を行うに至ったいきさつと中期的手術結果を報告し,これまでの手術法にたいする著者の考えを述べる。

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