著者
中村 登流
出版者
日本鳥学会
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.25, no.99, pp.21-40, 1976

1.インド北西部ジャムー•カシミール州のラムナガールに1973年10月31日より12月6日まで滞在し,冬の鳥を調査した.Habitat 内の構造特性と鳥の採食形式との関係について考察した.2.調査地は人工的な農山村で,鳥の環境として,松林,広葉落葉樹林,マメ科疎林,ブッシュ地,芝生草原,水田,河原,人家に分け,各々の特定的な構造に対応する種構成,個体の相対量が見つかった.3.ツグミ亜科の種が多数越冬しており,各 habitatに対応する生活空間を分けている.その生活空間は,1)地表面でその近くに跳びついて攻撃し,特定の監視所は持たない,2)ブッシュ上の特定の監視場所から地表面をねらって飛びついて攻撃する,3)林内の特定の監視場所から樹間空間に flycatching をする,という3型に分けられる.ラムナガールの冬には,典型的なヒタキ亜科の生活空間はあいており,ツグミ亜科がその下部要素へ入っている.4.鳥の集合に,1)警戒行動による集合,2)採食群による集合,3)コーラスグループによる集合が見つかった.さわがしいムードによる集合は各種の生活空間の活用性を拡大する生物的創造空間を示している.5.冬のテリトリー行動が目立った.ツグミ亜科には単独でテリトリアルなものが多い.オープンな場にいるものと,flycatching をするものは単独テリトリーを持つ.しかし,異性間テリトリーは見られない.Plumbeus Redstart では雄間テリトリーの中に雌は単独でいて,番いにはなっていない.Blueheaded Redstart では雄間テリトリーの中に排他的な雌が共存していて,番いにはなっていない.

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