著者
野口 弥吉
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.205-211, 1959

水稲の催芽種子を高温または低温で処理した場合,出穂が早まつたという報告もあるが,それを否定した結果も出ていて,その効果は確認されていない。そこで正確な実験によつてその点を明かにしようとした。、(1)低温処理出穂期を異にする16品種を用い,催芽種子を10日乃至80日間平均温度2~5℃.で低温処理した後,栽培して出穂期並びに出穂までの主稈出葉数を調べたが,何れの場合も全く処理の効果は認められなかつた。なお,養分の関係を考慮した実験でも,低温処理は出穂期を変えることはなかつた。(2)高温処理出穂期の異る6品種の催芽種子を平均27~30℃.の高温に20日,30日,45日間保つた後栽培して出穂期並びに止葉迄の主稈葉数を調べた。高温処理した場合は,むしろその期間だけ出穂期が遅れ,何れも葉数はふえた。従つて,水稲の幼穂形成に対する温度の影響は小麦の場合とことなるもののようである。

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