著者
阿部 和俊
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.17-24, 1990
被引用文献数
3

本稿の目的は,日本の首都東京を経済的中枢管理機能という高次都市機能の分析を通して,日本におけるその地位を検討することである。<br> 都市機能の観点からみると,現在の東京を特色づけているのは何よりも大企業本社の集中である。本稿では,日本の民間大企業と日本における外資系企業の本社立地の分析を通して,首都東京の姿を浮き彫りにすることを目的とする。<br> 我が国においては,民間企業本社の東京集中は著しい。しかし,東京への本社集中はとりたてて最近の現象ではない。それは早い時期からみられたのであり,今でもそれが強まりつつ継続している状態であると言えよう。そのことは当然の結果として,日本第2位の都市たる大阪の東京に対する相対的地位低下という事態を招いた。しかも,その傾向は今後しばらくの間は続くことが予想された。<br> 外資系企業本社の立地動向をみると,日本の企業以上に東京への集中は激しく,東京と他都市との差は大きなものであった。

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