著者
パテル オズマン・ヴァリ 平子 誠 高橋 透 佐々木 伸雄 百目鬼 郁男
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.659-663, 1995
被引用文献数
11

2胚移植によって受胎した正常双胎妊娠牛(N牛), フリーマーチン妊娠牛(F牛)および反転性裂体妊娠牛(S牛)の妊娠全期間にわたる末梢血中プロジェステロン(P<SUB>4</SUB>), エストロン(E<SUB>1</SUB>)およびエストラジオール(E<SUB>2</SUB>)の消長を調べた. 血中P4濃度は, F牛が妊娠254日に双子を死産した際に急減した他は, 三者の間には相違がみられなかった. 血中E1濃度は, N牛においては好期の経過に伴い上昇し, 分娩日に最高値を示した後に急減し, F牛においてはN牛よりも低い値で推移し, 妊娠254日に突然上昇した後に急減した. また, S牛においてもN牛より低く, 変動を伴って推移した. 血中E<SUB>2</SUB>濃度は, 三者ともにE<SUB>1</SUB>より低く, かつE<SUB>1</SUB>濃度に平行して推移した. 血中E<SUB>1</SUB>, E<SUB>2</SUB>濃度は, 分娩後1日にN牛では両者とも20pg/ml以下の値に低下したが, F牛とS牛はE<SUB>1</SUB>が150kg/ml以上, E<SUB>2</SUB>が20pg/ml以上の値を示した. この成績は, 妊娠中の胎子数の判定同様子宮内の胞子の予後の判定においても, P<SUB>4</SUB>よりE<SUB>1</SUB>やE<SUB>2</SUB>の方が優れた指標となることを示唆している.

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