著者
吉田 豊 半澤 惠 桑山 岳人 祐森 誠司 池田 周平 佐藤 光夫 門司 恭典 渡邊 忠男 近江 弘明 栗原 良雄 百目鬼 郁男 伊藤 澄麿 Luis K. MAEZONO Enrique Flores MARIAZZA Gustavo A. Gutierrez REYNOSO Jorge A. Gamarra BOJORQUES 渡邉 誠喜 Yutaka Yoshida Hanzawa Kei Kuwayama Takehito Sukemori Seizi Ikeda Shuhei Sato Mitsuo Monji Yasunori Watanabe Tadao Ohmi Hiroaki Kurihara Yoshio Domeki Ikuo Ito Sumimaro Maezono K. Luis Mariazza Flores Enrique Reynoso Gustavo A. Gutierrez Bojorques Jorge A. Gamarra Watanabe Seiki
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.62-69,

ペルーおよび日本国内で採取したラマ47頭,アルパカ27頭および両者の交雑種1頭とそのアルパカへの戻し交雑種1頭の計76頭の血液を用いて,19座位の血液タンパク質・酵素型を電気泳動学的に解析し,以下に示す成績を得た。1)血漿タンパク質 : Albumin, Haptoglobin,血漿酵素 : Alanine aminotransferase, Aspartate aminotransferase, γ-Glutamyltranspeptidase,赤血球タンパク質 : Haemoglobin,ならびに赤血球酵素 : Acid phosphatase, Catarase, Glucose-6-phosphate dehydrogenase, Phosphoglucomutase, Phosphohexose isomeraseの計11座位では多型は認められなかった。2)血漿タンパク質4座位 : Post-albumin(Po),Gc-protein(Gc),Transferrin(Tf)およびγ-globurin field protein(γG),血漿酵素3座位 : Amylase(Amy),Creatine kinase(CK)およびLeucine aminopeptidase(LAP),ならびに赤血球酵素1座位 : EsteraseD(EsD)の計8座位に多型が認められた。これら8座位のうちTfでは6型,PoおよびGcでは4型,γ-G, AmyおよびEsDでは3型,LAPおよびCKでは2型が認められた。ラマおよびアルパカにおけるこれら8座位の総合的な父権否定率は,0.931および0.867であった。3)ラマとアルパカとの間で血液タンパク質・酵素型を比較したところ,Gc, AmyおよびEsDにおいて種間差が認められた。すなわち,GcおよびAmyでは両種で共通な易動度を示すバンド以外に各々種特有の易動度を示すバンドが存在し,またEsDでは両種間でバンドの易動度が異なっていた。4)ラマとアルパカの交雑種,ならびにアルパカへの戻し交雑種の血液タンパク質・酵素型はラマあるいはアルパカと共通であった。5)CKおよびEsDを除く,17座位の遺伝子頻度に基づいて算出したラマとアルパカとの間の遺伝的距離は0.035であった。以上の成績から,血液タンパク質・酵素型の解析はラマおよびアルパカの集団の遺伝子構成を推定する上で有力な指標となることが明確となった。一方,ラマとアルパカが遺伝的に極めて近縁な関係にあることを裏付けるものと判断された。Blood samples of llamas and alpacas were classified by using electrophoretic procedures in the polymorphism at 19 loci. Electrophoretic variation was found for 8 loci, namely plasma proteins : post albumin (Po), Gc protein (Gc) and transferrin (Tf) and γ-globurin zone protein (γG), for plasma enzymes : amylase (Amy), creatine kinase (CK) and leucine aminopeptidase (LAP), and for red cell enzyme : esteraseD (EsD). Synthetic probabilityes of paternity exclusion about the 8 loci for llamas and alpacas were 0.931 and 0.867, respectively. No variants were found for plasma proteins : albumin and haptoglobin, for plasma enzymes : alanine aminotransferase, aspartate aminotransferase and γ-glutamyltranspeptidase, for red cell haemoglobin, and for red cell enzymes : acid phosphatase, catarase, glucose-6-phosphate dehydrogenase, phosphoglucomutase and phosphohexose isomerase. Nei's genetic distance between llamas and alpacas on the 17 loci (except CK and EsD) was 0.035. Preliminary estimate of the genetic distance measure may suggest that llamas and alpacas are more likely related as subspecies than as separate species.
著者
パテル オズマン・ヴァリ 平子 誠 高橋 透 佐々木 伸雄 百目鬼 郁男
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.659-663, 1995-08-15
被引用文献数
6

2胚移植によって受胎した正常双胎妊娠牛(N牛), フリーマーチン妊娠牛(F牛)および反転性裂体妊娠牛(S牛)の妊娠全期間にわたる末梢血中プロジェステロン(P_4), エストロン(E_1)およびエストラジオール(E_2)の消長を調べた. 血中P4濃度は, F牛が妊娠254日に双子を死産した際に急減した他は, 三者の間には相違がみられなかった. 血中E1濃度は, N牛においては好期の経過に伴い上昇し, 分娩日に最高値を示した後に急減し, F牛においてはN牛よりも低い値で推移し, 妊娠254日に突然上昇した後に急減した. また, S牛においてもN牛より低く, 変動を伴って推移した. 血中E_2濃度は, 三者ともにE_1より低く, かつE_1濃度に平行して推移した. 血中E_1, E_2濃度は, 分娩後1日にN牛では両者とも20pg/ml以下の値に低下したが, F牛とS牛はE_1が150kg/ml以上, E_2が20pg/ml以上の値を示した. この成績は, 妊娠中の胎子数の判定同様子宮内の胞子の予後の判定においても, P_4よりE_1やE_2の方が優れた指標となることを示唆している.
著者
パテル オズマン・ヴァリ 平子 誠 高橋 透 佐々木 伸雄 百目鬼 郁男
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.659-663, 1995
被引用文献数
11

2胚移植によって受胎した正常双胎妊娠牛(N牛), フリーマーチン妊娠牛(F牛)および反転性裂体妊娠牛(S牛)の妊娠全期間にわたる末梢血中プロジェステロン(P<SUB>4</SUB>), エストロン(E<SUB>1</SUB>)およびエストラジオール(E<SUB>2</SUB>)の消長を調べた. 血中P4濃度は, F牛が妊娠254日に双子を死産した際に急減した他は, 三者の間には相違がみられなかった. 血中E1濃度は, N牛においては好期の経過に伴い上昇し, 分娩日に最高値を示した後に急減し, F牛においてはN牛よりも低い値で推移し, 妊娠254日に突然上昇した後に急減した. また, S牛においてもN牛より低く, 変動を伴って推移した. 血中E<SUB>2</SUB>濃度は, 三者ともにE<SUB>1</SUB>より低く, かつE<SUB>1</SUB>濃度に平行して推移した. 血中E<SUB>1</SUB>, E<SUB>2</SUB>濃度は, 分娩後1日にN牛では両者とも20pg/ml以下の値に低下したが, F牛とS牛はE<SUB>1</SUB>が150kg/ml以上, E<SUB>2</SUB>が20pg/ml以上の値を示した. この成績は, 妊娠中の胎子数の判定同様子宮内の胞子の予後の判定においても, P<SUB>4</SUB>よりE<SUB>1</SUB>やE<SUB>2</SUB>の方が優れた指標となることを示唆している.
著者
祐森 誠司 桑山 岳人 池田 周平 吉田 豊 佐藤 光夫 半澤 恵 門司 恭典 渡邊 忠男 近江 弘明 栗原 良雄 百目鬼 郁男 渡邉 誠喜 Luis MAEZONO Enrique FLORES 伊藤 澄麿
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.49-53, 2002-06-20

本研究は,日本国内におけるラマ属の被毛生産の可能性を検討するうえで基礎的な知見と考えられるラマ属家畜の被毛形態について検討した。ラマの被毛は,日本とペルー国で飼育される動物から採取した。アルパカの被毛は日本で飼育される動物から採取した。グアナコとビクーナの被毛はラ・モリナ農業大学の共同研究者から提供されたものを用いた。メンヨウ(サフォーク種)の被毛は,我々の研究室で飼育されている個体から採取した。伸張率,クリンプ数,太さ,キューティクルの面積と形について肉眼あるいは電子顕微鏡による観察を通じて測定された。ラマ属の被毛の伸張率(1.3-2.1)はメンヨウのもの(3.2)よりも低い値を示したが,逆にラマ属の被毛のクリンプ数(5.4-8.9)はメンヨウのそれ(2.4)よりも多かった。このことは,ラマ属の被毛の柔軟性がメンヨウよりも劣っていることを示唆している。太さに関する結果は,ラマの粗毛が他の動物の普通の毛の2〜3倍太いことを示した。また,ビクーナの被毛の太さは他の動物の普通の毛の1/2倍であった。電子顕微鏡での観察結果から,キューティクルの形は2種類に分類され,1つはラマ,アルパカ,グアナコ,メンヨウのように幅の広いタイプであり,もう1つはビクーナのような長さの長いタイプであった。ビクーナの被毛はキューティクルの面積(47.4-70.0μm^2)が最も小さく,他の日本国内飼育動物のそれはそれぞれ近似した値を示した。