著者
門崎 允昭
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.24, no.97, pp.1-8, 1975

肺•気嚢系が解明されている鳥類の中,七面鳥だけが後胸気嚢を欠いており,この点特異的である。従って,筆者は七面鳥の後胸気嚢の欠如の過程を発生学的に観察した。後胸気嚢は通例第2PV,あるいはその近傍の気管枝(通例3次気管枝)から発生する気嚢であるが,七面鳥ではいかなるステージにおいても,これらの気管枝からは気嚢の発生が見られなかった。なお,第2PVは分枝を発生し,近傍の気管枝とともに腹気嚢の回帰気管枝と吻合することを確認した。ふ化後の七面鳥の2次気管枝は,その位置的関係からADs,PDs,PVs,PLsの4群に大別されるが,発生時期からも4群に大別するのが合理的であり,さらに同一群に属する気管枝の発生順序も肺内に近い方から順次発生することを確認した。前胸気嚢に交通している気管枝の中,第3AD以外の総ての気管枝,および腹気嚢に交通している気管枝の中一次気管枝以外の総ての気管枝は,いつれも気嚢から肺側に発生してきた.いわゆる回帰気管枝である。さらにこれら回帰気管枝のmain ductは,筆者が成鳥における肺の形態学的記載で,confluent bronchusとした部分に相当する。これらmain ductは通例,ガス交換能を有する呼吸細気管枝を欠いているので,発生的にも機能的にも気嚢の領域と考えられる。ふ化後の肺にラテックスを注入した鋳型において,鈍縁から肋骨面の前方部を経て内臓面の後方部にかけての気管枝に,一連の不連続面が往往見られるが,この部分が発生学的にはADsとPDs•PVsとの吻合面に一致することを確認した。

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