著者
高橋 守 伊藤 正道 山本 裕子 高橋 等 高野 俊彦 高野 弘彦 高橋 朋枝
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.51-71, 1978

尾瀬の繁殖期(5月~8月)の鳥類調査を1974年から1978年にわたり線センサス法により実施し植生環境別鳥類群集構造,垂直分布などにつき調査し,あわせて鳥類からみた尾瀬の自然保護を記し検討を行なった.得られた結果は次のとおりである.<br>1.カヤクグリ,イワヒバリなどの高山帯の鳥をはじめ総計93種が記録された.<br>2.各林相地域とも標鳥のウグイス,ヒガラ,夏鳥のメボソムシクイなどの食虫性鳥類が優占し食葉性鳥類のウソ,ホシガラス,カケスなども広く分布しており本州亜高山帯針葉樹林の特徴を示していた.<br>3.エゾムシクイとクロジの2種は亜高山帯針葉樹林と落葉広葉樹林の推移部で集中的に記録された.<br>4.尾瀬全体で最優占する種はウグイス20.0%で次にヒガラ15.8%,メボソムシクイ14.3%,コマドリ5.2%,ルリビタキ3.1%で,これら上位優占鳥種5種で全体の58.4%を占め,しかも鳥種が豊富なことから一定の鳥類群集型を保持しているといえる.<br>5.ムクドリ,センダイムシクイ,エゾムシクイは5月に生息密度が高かったのに8月では低く,すでに移動•分散していた.<br>6.ウグイス,メボソムシクイ,ヒガラ,ハシブトガラス,ミソサザイ,コマドリの6種は低山帯から高山帯にいたるまで幅広く分布しており尾瀬における夏期の基本的構成種であった.<br>7.鳥類の垂直分布の決定要因としては,鳥の選好する植生と標高が強くはたらくことを示していた.たとえばメボソムシクイ,エゾムシクイ,センダイムシクイなど.<br>8.尾瀬ヶ原の湿原にはムクドリが最優占し,ハシブトガラス,ヒバリなどヒトとの結びつきの深い<br>種が記録された.<br>9.イワツバメは1970年に約10,000羽生息していると言われたのに対し,1978年には約4,000羽と推定された.

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