著者
古田 賢治 下村 茂美 大橋 等
出版者
日本家禽学会
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.358-361, 1982

熱湯に短時間浸漬した場合の消毒効果について基礎的資料を得る目的で, 大腸菌又は黄色ブドウ球菌で人工汚染したプラスチックとアルミ箔を用いて実験を行った。得られた主な結果は次のとおりであった。<br>1) 1片当たり大腸菌10<sup>6.8&plusmn;0.3</sup>又は黄色ブドウ球菌10<sup>7.4&plusmn;0.3</sup>が付着したプラスチックを75&deg;Cの水道水に60秒間浸漬しても菌は生き残っていか。100&deg;Cに浸漬すると大腸菌は10秒間, 黄色ブドウ球菌は30秒間で死滅した。菌をアルミ箔に付着させた場合にプラスチックの場合よりやや短い浸漬時間で死滅した。<br>2) 菌を死滅させる時間を短縮する目的で75&deg;C又は100&deg;Cに保った消毒液 (逆性石鹸及び両性石鹸) にプラスチックを浸漬したが, 水道水の場合と比較して浸漬時間を著しく短縮することはできなかった。<br>3) 浸漬による菌の死滅する時間及び浸漬時間の経過に伴う菌数の減少からみて, 浸漬前のプラスチック1枚当たりの付着菌数が10<sup>4</sup>程度以下であれば, 100&deg;Cの水道水に10秒間浸漬することによりほぼ完全な消毒効果が得られることが示唆された。

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