著者
谷口 智雅
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.19-25, 1995
被引用文献数
1

戦前の水環境について,特に水質については現在発表されている数値に対応できるレベルのデータはない。そのために歴史的水環境の復元をするにあたり,文学作品中の水に関する記述に注目し,現在の資料と同じレベルの指標に変換することによって水環境の評価を行った。文学作品は著者による主観的なものではあるが,その時代や土地柄などの背景を十分映しだしている。そのため,自然の描写や社会情勢などは,ある程度客観的なものとして捉えることができるとみなした。文学作品中の河川や魚,植生などの自然の描写は,水環境を復元するうえで有効な資料である。<BR>文学作品中の生物的・視覚的水環境表現は生物的水域類型をもとに3段階評価を行い,1920,1940年頃の東京の水環境をメッシュマップとして復元した。その結果,1920年頃は「きれいな水域」が24,「少し汚れた水域」が186,「汚れた水域」が56であったのが,1940年頃にはそれぞれ13,150,113になった。1920~1940年頃にかけては「きれいな水域」と「少し汚れた水域」が減少し,「汚れた水域」のメッシュ数は2倍以上にも増加した。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

見てないので知らんのだけど、これとどう違うの? https://t.co/3aWC2UjDWf https://t.co/J3of4QCNkj

収集済み URL リスト