- 著者
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上寺 常和
- 出版者
- The Japanese Society for the Philosophy of Education
- 雑誌
- 教育哲学研究 (ISSN:03873153)
- 巻号頁・発行日
- no.54, pp.98-101, 1986
世界各国、とりわけ開発途上国では教育に直接関連してはいないけれども、人々を苦しめる災害が生じている。先進諸国においても例外ではない。これらの災害の中で、多くのものは人為的なものとみなされている。一九八五年八月の日航ジャンボ機墜落事故、一九八六年四月のソ連チェルノブイリ原子力発電所爆発事故などはそれを物語っている。科学の急激な進歩は、人間自身それに追いつくことができず本来人間の幸福のための科学が、逆に大きな災害を引き起こす結果となったのである。自然科学優先の科学主義は、反省すべきであり、人間性に基づく科学を発達させる必要がある。