著者
木島 由晶
出版者
日本ポピュラー音楽学会
雑誌
ポピュラー音楽研究 (ISSN:13439251)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.16-39, 2006
被引用文献数
1

近年の路上演奏は、都市部における青年文化の文脈で捉えられやすい。本稿はこの観点を継承し、大阪有数の都市である心斎橋周辺をモデル・ケースとして、路上文化の今日的な様相を示す。分析の前半では、169名分のインタビュー・データを整理して演者の意識の傾向を把握する。これをふまえて後半では、フィールド・リサーチの知見を導入して路上文化の特色を位置づける。以上の分析から得られた知見は、つぎの3点である。(1)路上文化が定着した要因には、通行人に対する意識の低下よりも、路上に対する安心感の高まりが大きい。(2)路上で自由に演奏してもよいという感覚は、今日では演者当人をこえて、演者をとりまく警察や自治体の側に波及している。(3)こうした状況の変化は、演者の二極化傾向を促進させる。一方は、通行人を意識しないで気ままに演奏を楽しむスタイルであり、他方は、通行人を強く意識してレコード・デビューを目指すスタイルである。

言及状況

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論文 to #弾き語り 路上演奏者の公共感覚:心斎橋の弾き語りシンガーを事例として https://t.co/buWCFqj7dr 街で音を奏でること : 2005年あたりの下北沢 https://t.co/xtadkm6I98 「歌が私たちの呼吸する空気になった」 ── 一九六〇年代のソ連の弾き語り文化 https://t.co/SzJQzsUwHJ

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