著者
村田 修 宮下 盛 那須 敏朗 熊井 英水
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.145-151, 1995

マダイの卵にクロダイ精子を媒精して作出した交雑魚 (マクロダイと呼ぶことにする) の養殖品種としての特性を明らかにする目的で, その成長, 生残率, 外部形態, 環境ストレス耐性などについてマダイおよびクロダイ両種と比較した。<BR>(1) 媒精した浮上卵の受精率はクロダイ>マダイ>マクロダイの川頁, 孵化率はマダイ>クロダイ・マクロダイの順であった。<BR>(2) 孵化後30日目までの生残率はマダイ>マクロダイ>クロダイの順であったが, その後71日目から140日目までのそれはマクロダイおよびクロダイの方がマダイよりも著しく高くなった。<BR>(3) 成長は孵化後約8ヶ月目まではマクロダイ>マダイ>クロダイの順であったが, 満1年目からはマダイの方がマクロダイよりも徐々に大きくなり, 満3年目におけるマクロダイの成長はマダイよりは遅いがクロダイよりは早く両親の中間となった。<BR>(4) 環境ストレス耐性では, 水温上昇および低下, 比重低下, 並びに溶存酸素低下に対してマクロダイはいずれもクロダイよりも弱かったが, マダイよりも著しく強かった。<BR>(5) 外部形態や体色などからマクロダイはクロダイに近く父系遺伝が強いことが示唆された。

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