著者
佐伯 有常
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.207-214, 1961

コイの酸素消費量・有機物等の分泌排泄量, 酸素の補給量, 有機物等の浄化能を基礎として設計, 改造したろ過循環式の蓄養池で, 実際にコイを蓄養した時の水質等の調査をしたところ, 次の結果が得られた。<br>(i) 酸素の補給量はコイの消費量とろ過池での消費量との合計以上必要で, 後者は前者の40%にもおよんだ。<br>(ii) コイの酸素の消費量は26℃で40cc/h/kgであった。 これは一般の養殖の場合より少ないものであり, これに伴って排泄量等も減少しているものと考えられる。<br>(iii) コイの循環式蓄養池の設計基準は次のようになる。<br>○窒素化合物 (および有機物) のbalanceについて<br>コイの代謝はNとして100g/day/ton。<br>ろ過用礫 (粒径1cm) の浄化能16g/day/m<sup>3</sup>。<br>故にコイ1tonについて必要なろ過用礫は6mm<sup>3</sup>となる。<br>○酸素 (および炭酸ガス) のbalanceについて<br>コイの消費量50<i>l</i>/h/ton。<br>浄化用礫等の消費量1.5<i>l</i>/h/ton。<br>故にコイ1tonについて補給さるべき酸素量は59<i>l</i>/hとなる。<br>この酸素を水の落下・循環により求めるときは, 池水の最小溶存酸素量1cc/<i>l</i>で落下距離が1mおよび2mのときに, それぞれ24mm<sup>3</sup>/h, 21mm<sup>3</sup>/hの循環水量が必要となる。<br>また用水を落下曝気させたときの酸素の溶入量を求める表をつくった。 これにより一般魚介類の循環式飼育等における循環水量を求めることができよう。

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