著者
森川 信之 神野 達夫 成田 章 藤原 広行 福島 美光
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.14-26, 2003
被引用文献数
4

異常震域が現れる、やや深発地震を対象とした地震動の最大振幅の予測を経験的手法によって行う上で、距離減衰式に対して補正係数を導入することを提案する。ここでは、東北日本 (東北及び北海道地方) を対象として、司・翠川 (1999) による最大加速度、最大速度の距離減衰式を基準に、(1) 太平洋側と日本海側の地震動強さの違いに対応する係数、(2) 遠方の地域まで地震波があまり減衰せずに伝わることに対応する係数、の二種類の補正係数を求めた。これらは、いずれもプレート沈み込み帯における特異な減衰 (Q) 構造に起因する伝播経路特性の地域性を補正するものである。ここで求めた新たな補正係数を適用することにより、やや深発地震を対象とした経験的手法による地震動予測において、非常に広域にわたって最大加速度及び最大速度の予測値の精度が大幅に向上する。

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