著者
江川 拓也 山梨 高裕 冨澤 幸一
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1_352-1_364, 2016 (Released:2016-01-28)
参考文献数
29

本報は、特殊土でありながら既往の液状化判定法では特別な取り扱いがされていない火山灰質土の液状化特性の把握と評価を目的に、1993年北海道南西沖地震と2003年十勝沖地震で火山灰質地盤の液状化が確認された地点またはその近傍において実施した原位置調査および室内土質試験結果から考察を行った。その結果、現行の液状化強度比RL推定式では、火山灰質土のRLを過小評価しており、現行のRL推定式への新たな係数や補正値、または、火山灰質土特有のRL推定法が必要であることを明らかにした。
著者
大町 達夫 井上 修作 水野 剣一 山田 雅人
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1_32-1_47, 2011 (Released:2011-12-05)
参考文献数
17
被引用文献数
4 7

2008年岩手・宮城内陸地震の際,KiK-net一関西観測点では上下動の最大加速度が4G(Gは重力加速度)に近い驚異的な強震記録が得られた.この加速度時刻歴には自由地盤表面での強震記録とは思えない特徴が認められることから,強震観測点の現地調査や振動台模型実験,数値解析などによって,この驚異的な上下動加速度の成因を調べた.その結果,この強震記録には強大な地震動入力によって地震観測小屋がロッキング振動で浮き上がり,地面と再接触した際の衝撃力の影響が強く反映している可能性が高いことが見出された.またこの影響がなければ,本震時の4Gに近い上下動最大加速度は1.6G程度であることも導かれた.
著者
先名 重樹 長谷川 信介 前田 宜浩 藤原 広行
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.5_143-5_162, 2012 (Released:2012-11-07)
参考文献数
15
被引用文献数
2 7 1

東北地方太平洋沖地震では、東京湾岸だけでなく、利根川流域においても多数の液状化現象が発生し、場所によっては、ライフラインの寸断、住宅基礎の破壊や不同沈下など、甚大な被害が発生した。本報告では、利根川流域における液状化被害の全体像をとらえることを目的として、茨城県・千葉県内の主に利根川流域における計29市町について現地調査を実施した。調査内容は、各市町の情報を収集したのち、現地においての写真撮影、住民へのヒアリング等を実施した。利根川流域における液状化の特徴として、激しい液状化が見られたのは、ほとんどが海や池、河川を埋め立てた人工地盤であった。しかしながら、ごく一部では、自然地盤でも液状化現象が見られた。また、本報告では、参考までに、関東地方全体の液状化地点情報と微地形区分毎の液状化発生頻度および確率についても計算し、結果の検討を行った。今回の地震における液状化は、過去の液状化被害のあった地震と比べて、微地形区分に基づく液状化発生確率が、非常に大きくなることが分かった。
著者
武村 雅之 虎谷 健司
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.7_2-7_21, 2015 (Released:2015-12-25)
参考文献数
31

1944年東南海地震(MJ=7.9)の被害統計資料の整理と震度分布の評価を行った。その結果従来のデータの誤りを正し集計値と整合のある市区町村データを新たに整備することができた。それらに基づいて震度分布図を作成し地域毎の揺れの特徴をわかり易く表現することができた。またそれらのデータを用いて東南海地震の人的被害の要因を検討した。合計1183名の死者数のうち、静岡県袋井市周辺や愛知県西尾市の旧矢作川流域など震度7になった地域での住家倒潰による犠牲者ならびに三重県の熊野灘沿岸のリアス式海岸地域における津波による犠牲者が多くを占めることが分かった。それに加えて愛知県半田市や名古屋市南区では揺れは震度6弱程度であったにも係らず市区町村別の死者数ランキングで1位と3位の犠牲者が出ていることが分かった。両者を合わせるとその数は279名となり、愛知県全体の435名の実に64%に当る。その原因は、耐震性の欠如を放置して飛行機組立工場へと転用された紡績工場の存在があった。このような行為は場合によって、津波にも勝るとも劣らない被害要因となることが分る。
著者
石川 裕 奥村 俊彦 藤川 智 宮腰 淳一 藤原 広行 森川 信之 能島 暢呂
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.4_68-4_87, 2011 (Released:2012-01-31)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

本論文では、時間軸の起点を1890 年から30 年ごとに変化させた確率論的地震動予測地図を作成し、同じ期間に実際に発生した地震によるハザードマップと対照させることで確率論的地震動予測地図の確からしさの検証を試みた。その結果、全国の地震ハザードの総量として確率論的地震動予測地図はおおむね実績と調和的であると評価された。また、最大影響カテゴリーがIとIIの地域では、事前の超過確率が高い地点ほど震度6 弱以上を経験した割合が多く、確率論手法の有用性を支持する結果を得た。一方、最大影響カテゴリーがIIIの地域はそもそも事前の超過確率が低い地点が多く、震度6 弱以上を受ける具体的な地域を事前の超過確率の高低から予測することは難しいことが明らかとなった。これらより、地域の地震環境に応じてリスクマネジメントの考え方を使い分ける必要性を指摘した。
著者
渦岡 良介 仙頭 紀明 森 友宏 風間 基樹
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.5_80-5_93, 2011 (Released:2012-01-31)
参考文献数
16

2008年岩手・宮城内陸地震では大小合わせて50箇所を越える河道閉塞が発生し、河道閉塞の下流に位置する地域に深刻な影響を与えた。地震時の斜面崩壊によって生成される天然ダムの浸透や越流に対する安定性を検討するためには、天然ダムの土質構成やその力学特性が必要となるが、蓄積されているデータは少ない。そこで、本研究では2008年岩手・宮城内陸地震で発生した湯ノ倉温泉地区の天然ダムを対象とし、その地盤工学的特性を明らかにすることを目的として原位置試験、堤体材料を用いた室内土質試験を実施した。その結果、湯ノ倉温泉地区の天然ダムの天端付近では深度によって岩塊比率が異なること、岩塊以外の堤体のN値は10程度で比較的軟弱であること、高塑性の堤体材料の透水係数は現場透水係数より小さく、その耐侵食性は非塑性の土より大きいことなどがわかった。
著者
若松 加寿江 先名 重樹 小澤 京子
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1_43-1_62, 2017 (Released:2017-02-27)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

本論文は, 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による液状化発生地点の分布の特徴を俯瞰すると共に, 液状化の発生と地震動強さ, 微地形区分, 土地条件の関係について検討している.液状化の発生は, 東北・関東地方の1都12県193市区町村に及んだ.液状化の広がりを250mメッシュ単位でカウントすると合計で8680メッシュとなった.東北地方より関東地方の方が圧倒的に多く約12倍である.液状化発生地点は, 東京湾岸地域や利根川, 阿武隈川, 鳴瀬川などの規模が大きい河川の沿岸地域に集中していた.本震の震央から最も遠い液状化地点は, 神奈川県平塚市で震央距離約440kmである.地震動強さとの関係を調べた結果, 液状化メッシュの約95%が推定震度5強以上, 98%が140cm/s2以上, 99%が15cm/s以上の地域であった.震度5強以上の地域における微地形区分ごとの液状化発生率は, 埋立地, 砂丘, 旧河道・旧池沼, 砂州・砂礫州, 干拓地の順に高かった.東北地方と関東地方で液状化の発生率等に大きな差異が生じた理由を探るために, 液状化発生地点において「宅地の液状化可能性判定に係る技術指針」に示された二次判定手法により液状化被害の可能性の判定を行った.その結果, 関東地方の方が東北地方に比べて液状化被害を受けやすい地盤が多いことが分かった.
著者
諸井 孝文 武村 雅之
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.21-45, 2004 (Released:2010-08-12)
参考文献数
35
被引用文献数
11 13

関東地震の死者・行方不明者数は資料によって異なり, 総数14 万余名と言われることもあるがその根拠はよくわかっていない。また一般に, 人的被害の大半は東京市や横浜市などの大規模火災によるものとの認識がある。関東地震による住家被害については被害資料の再評価に基づく統一的なデータベースが作成されており, それによれば住家の全潰は歴代の地震災害の中でも最高位の数にのぼる。従って住家倒潰も火災と同様に関東地震における人的被害の大きな要因であったと考えた方が合理的であろう。本稿では住家被害数の再評価と同様に被害資料の相互比較によって死者数を整理した。用いた資料は震災予防調査会報告にある松澤のデータや内務省社会局が刊行した大正震災志に載せられたデータなどである。これらのデータを相互に比較し, 市区町村単位の死者数を評価した。次に住家の全潰率や焼失率と死者発生率の関係を検討し, 死者数を住家全潰, 火災, 流失・埋没などの被害要因別に分離した。その結果, 関東地震による死者・行方不明者は総数105385 名と評価された。そのうち火災による死者は91781 名と巨大であるが, 住家全潰も11086 名の死者を発生させている。また流失・埋没および工場等の被害に伴う死者もそれぞれ1 千名を超える。このように, 関東地震はあらゆる要因による人的被害が, 過去に起きた最大級の地震と同等もしくはそれ以上の規模で発生した地震であることがわかった。
著者
佐藤 勉 中村 豊 齋田 淳
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.7_463-7_473, 2015 (Released:2015-12-25)
参考文献数
12

我々がローマにあるコロッセオの常時微動を1998年に本格的に測定してから15年以上が経過した。2013年には、そのうちの一部を再計測する機会に恵まれた。再計測したのは、1354年の地震でも崩壊せずに残った北側最外壁の地上階から最上階までである。地上階を除き15年前とほぼ同じ位置で計測できたので、以前の測定データも改めて今回の計測データとともに解析して、両者を比較した。その結果、概ね同様な伝達スペクトル形状となったが、明らかな相違も検出されたので、これらについて報告する。
著者
板垣 修 松浦 達郎 服部 敦
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.5_83-5_92, 2016 (Released:2016-04-25)
参考文献数
23

本論文は、地震と洪水の複合災害を対象として、被害低減対策ごとの被害低減効果の特性について分析し、対策検討上の留意事項を抽出することを目的とする。分析に当たっては、国土交通大臣直轄管理河川を念頭に設定した延長約60kmのモデル河川において、地震・洪水規模、両者の生起間隔、対策ケースを変化させた計120ケースについて直接被害額及び死者数を試算した。本成果を活用することにより複合災害時の被害低減対策についてより具体的に検討できるようになると著者らは考えている。
著者
佐伯 琢磨 清野 純史
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1_34-1_43, 2014 (Released:2014-02-06)
参考文献数
11

東日本大震災は,かつてない広い範囲で甚大な被害をもたらし,ガソリンなどの燃料をはじめとする災害からの復旧・復興に欠かせない物資の供給が停滞した.本研究では,システムダイナミクスの問題解決手法を適用し,これらの問題の原因やボトルネックを探り,今後発生が予想される南海トラフ巨大地震などの広域災害において,懸念される同種の問題発生を軽減することを目的とする.
著者
野津 厚 山田 雅行 長尾 毅 入倉 孝次郎
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.4_209-4_228, 2012 (Released:2012-09-28)
参考文献数
40
被引用文献数
1

2011年東北地方太平洋沖地震の際、震源断層に比較的近い宮城県から茨城県にかけての多くの地点で観測された0.2-1Hzの帯域の速度波形は明瞭なパルスによって特徴付けられている。これらの強震動パルスは、構造物に対して影響を及ぼしやすい周波数帯域に現れているという点で、内陸地殻内地震による強震動パルスと共通の特徴を有していると言える。海溝型巨大地震がもたらす強震動パルスも構造物に大きな影響を及ぼす可能性があり、今後、海溝型巨大地震に対する強震動予測、特に耐震設計を目的とする強震動予測を行う場合には、強震動パルスの生成を意識した震源のモデル化を行うことが重要と考えられる。本稿においては、まず、海溝型巨大地震による強震動パルスの生成事例を示す。次に、それらの再現を目的として構築された既往の震源モデルを整理し、強震動パルスを生じたと考えられる領域(強震動パルス生成域)の諸特性と地震規模との関係を調べる。
著者
鈴木 崇伸
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.4_25-4_37, 2018 (Released:2018-08-31)
参考文献数
11

本文は地震時に水道管内の水圧が異常に低下する現象を解析的に分析した結果を報告している.東北地方太平洋沖地震時に川越市内で起きた水圧低下に関し,貯水槽のスロッシングによる水圧変化と管路内の水の振動外力による運動に分けて応答計算を行った.水圧低下量を説明できるのは水の圧縮性を考えた管路内の水の解析結果であり,外乱によって蓄えられたエネルギーが消散していく過程で水圧低下が起きることを説明している.
著者
浅野 公之
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.5_34-5_45, 2019 (Released:2019-09-27)
参考文献数
31

強震動予測において,震源パラメータの不確実性を考慮して予測結果のばらつきを提示することが強く意識されるようになってきた.本研究では,震源特性のばらつきに注目し,気仙沼沖で約15年の平均繰り返し間隔で発生するM6級のプレート境界地震を例に,直近4回の地震の強震動生成域(SMGA)を推定した.その結果,1973年,1986年,2002年の地震は1つのSMGA, 2015年の地震は2つのSMGAで観測強震記録の特徴を説明できた. 2015年のSMGA1及び1973年,1986年,2002年のSMGAはほぼ同一の大きさをもつSMGAの活動と考えられ,その応力降下量のばらつきは,最小値に対し約1.6倍の範囲に収まっていた.
著者
伯野 元彦
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.5_177-5_182, 2016

近い将来、関東南部に、M7クラスの直下地震が予想され、特に都心にひどい被害を与える仮想の地震、都心南部直下地震を想定し、その被害が内閣府によって発表された。それによると、都心の一部は、震度7, 6強という激しい揺れに襲われ、山手線の外側ドーナツ状地域の北側半分は老朽木造家屋密集地のため、倒壊、火災が多く、火災による死者は16000人に達し、家屋倒壊などによるものを含めると全体としての死者は23000人となるという。そして地震翌日でも、帰宅困難者は800万人にのぼり、交通は新幹線、地下鉄が1週間、JR在来線、私鉄が1か月ストップと大変な被害となる。一方、2020年には東京オリンピックが開かれるが、この開催中に地震が起こっても外国人観光客の安全を特に考えなければならない。また、開催の3年前より後に起こると、オリンピックの開催そのものが地震災害のため不可能となるのではないかと心配される。地震慣れした日本人すら23000人も死ぬのである。地震の経験のない外国人観光客の安全を図るには大いに頑張らなければならない。
著者
川辺 秀憲 釜江 克宏
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.2_75-2_87, 2013 (Released:2013-03-08)
参考文献数
29
被引用文献数
3 4

2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)に対し、経験的グリーン関数法を用いたフォワードモデリングにより工学的に重要な0.1~10秒の周期帯を対象とした震源のモデル化を行った。結果として、宮城県沖から茨城県沖にかけて、5つの強震動生成域からなる震源モデルを提案した。得られた震源モデルにおける5つの強震動生成域は、これらの地域における地震調査研究推進本部による想定震源域内にほぼ含まれていること、強震動生成域のみの地震モーメントは総地震モーメントの5%程度であり、より周期の長い地震動、巨大津波及び地殻変動を説明する震源モデル(海溝軸側に大すべり領域)とは相補的であるとの結果が得られた。
著者
大原 美保
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
地震工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.5_2-5_16, 2015

東日本大震災後以降、多くの自治体が「災害・避難情報伝達手段の多層化」に取り組みつつある。災害・避難情報伝達手段には、受信者の状況に関わらず情報を伝達可能であるPUSH型の手段と、受信者側で何らかのアクションを行わないと情報を閲覧できないPULL型の手段があり、両者の効果的な活用が必要である。本研究では、首都圏の自治体へのアンケート調査を行い、自治体におけるPUSH型及びPULL型の災害・避難情報伝達に関する現状と今後の課題に関する分析を行う。前半ではまず、自治体での各種伝達手段の利用状況を概観する。後半では、近年普及が目覚ましい携帯電話を用いた情報伝達に着目し、PUSH型の手段である緊急速報メール(エリアメール)と、PULL型の手段である住民登録型のメールサービスを比較した上で、利用状況・発信内容の違いや今後の課題を明らかにする。
著者
根本 信 横田 崇 高瀬 嗣郎 今村 文彦
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.2_25-2_41, 2019 (Released:2019-05-31)
参考文献数
31

2011年東北地方太平洋沖地震の津波断層モデルとしては,これまでに多くのモデルが提案されている.しかし,これらのモデルでは一部の観測データは説明できるものの,GNSSの連続観測データや沿岸の津波痕跡高分布を含めて総合的に評価されていない.本研究では,沖合津波波形データ,陸域・海域測地データ,GNSS連続観測データおよび津波痕跡高データを用いて,これらのデータを説明する津波断層モデルを線形と非線形のインバージョン解析により構築した.その際,断層すべりを与えるプレート境界面として,横田ら(2017)で提案された現実的なプレートモデルを用いた.解析の結果,地震発生から約1分後に宮城県沖で主要な断層すべりが生じるとともに岩手県沖の海溝軸に沿って地震発生から4分後までゆっくりとしたすべりが継続する断層モデルが推定された.
著者
廣井 悠 大森 高樹 新海 仁
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.5_111-5_126, 2016 (Released:2016-04-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1

本研究は首都圏を対象として大都市避難シミュレーションを構築し、東日本大震災時における首都圏滞在者の移動データを利用して作成した帰宅意思モデルを用いて、帰宅困難者対策の量的評価を行うとともに、災害時における混雑危険度指標を提案するものである。この結果、首都圏において仮に大規模災害時に帰宅困難者の一斉帰宅が行われると、6人/m2を超える密集空間の道路延長距離は東日本大震災の約137倍となることや、このような歩道の混雑を低減するためには就業者の一斉帰宅抑制がより効果的であること、車両の平均移動速度が3km以下となる車道の渋滞は比較的長期かつ広域に発生することが判明した。
著者
伯野 元彦
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.5_177-5_182, 2016 (Released:2016-04-25)
参考文献数
3

近い将来、関東南部に、M7クラスの直下地震が予想され、特に都心にひどい被害を与える仮想の地震、都心南部直下地震を想定し、その被害が内閣府によって発表された。それによると、都心の一部は、震度7, 6強という激しい揺れに襲われ、山手線の外側ドーナツ状地域の北側半分は老朽木造家屋密集地のため、倒壊、火災が多く、火災による死者は16000人に達し、家屋倒壊などによるものを含めると全体としての死者は23000人となるという。そして地震翌日でも、帰宅困難者は800万人にのぼり、交通は新幹線、地下鉄が1週間、JR在来線、私鉄が1か月ストップと大変な被害となる。一方、2020年には東京オリンピックが開かれるが、この開催中に地震が起こっても外国人観光客の安全を特に考えなければならない。また、開催の3年前より後に起こると、オリンピックの開催そのものが地震災害のため不可能となるのではないかと心配される。地震慣れした日本人すら23000人も死ぬのである。地震の経験のない外国人観光客の安全を図るには大いに頑張らなければならない。