著者
大西 正俊 大月 佳代子 松本 有史 若尾 徳男 笠井 隆司
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.62-77, 1993

下顎骨関節突起骨折の治療法としては, 従来より, 保存療法あるいは, 皮膚切開による観血的整復術が行われている。その治療法の選択は, 骨折様式, 年齢などの条件により決定されるが, 顎関節周囲の解剖学的, 機能的な複雑さ, そして観血整復時の皮膚切開とその瘢痕の残存, 耳下腺, 顔面神経損傷の危険性などのわずらわしさから, 従来より保存療法が選択されることが多い。しかし骨折治療の原則は解剖学的位置への骨片の整復と固定であり, 必要な症例については外科療法を行うべきであるとの立場から, 我々はよりよい方法として, 口内法によるアプローチでの下顎骨関節突起骨折の観血的整復術を検討してきた。<br>術式は口腔内, 下顎枝前縁部の粘膜切開から, 下顎枝内側面を関節突起部まで剥離し, 明視下で骨折部を整復するものである。同部の固定はチタン製ミニプレートでの固定かあるいは我々の考案したメタルバンドにより関節突起から筋突起までをはちまき状に包み込んで行った。考案したメタルバンドは純チタン製で, 巾6-8mm, 厚さ0.3mmの板状であり厚紙様の容易な操作が得られた。本法の利点として皮膚切開が不要な葦め, 皮膚瘢痕が残らない, 関節突起基部への下方向からのアプローチによる処置であり関節構造への侵襲が少ない, そして耳下腺, 顔面神経損傷の危険性が少ないなどである。

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