著者
長弘 雄次
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木史研究
巻号頁・発行日
vol.13, pp.437-449, 1993

九州北部を流れる福岡県下第二の大河遠賀川は、有史以来氾濫を繰り返したが一方その流域は有数な稲作地帯として先史以来多くの人々が住みっき、その流れは平安の昔から年貢米や諸物資の輸送路としての水運交通が盛んであった。<BR>遠賀川は河床こう配が緩く水深が浅いため、大きな船が航行できず、艀 (ひらた) という船底の浅い川船が利用された。近世江戸時代に入り、黒田藩は治水工事を積極的に行って遠賀川の水路を確保して上流からの物資輸送による地域開発に意を注ぎ、宝暦年間 (1751~1764年) 以降流域で石炭の採掘が盛んになると逐次石炭輸送が主力となり、特に明治以後は石炭輸送の大動脈として日本経済の近代化に大きく貢献した。<BR>しかし、1887 (明治20) 年以降は増大する石炭生産に水運が対応できず、鉄道の敷設とともに陸運にとって代られ、199 (昭和14) 年を最後として遠賀川から川船が姿を消し、水運交通に終止符を打ち、石炭生産も戦後のエネルギー革命により、昭和40年代の後半にその使命を終了した。<BR>当論文は有史以来からの遠賀川の水運交通の盛衰についての史的研究をとりまとめた。

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こんな論文どうですか? 遠賀川の水運交通に関する研究(長弘 雄次),1993 https://t.co/xomv9UvTEl 九州北部を流れる福岡県下第二の大河遠賀川は、有史以来氾濫を繰り返したが一方その流域は有数な稲作地帯として先史以来多くの人々…
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