- 著者
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村上 虞裕美
- 出版者
- 日本海洋学会
- 雑誌
- 日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.3, pp.224-239, 1986
- 被引用文献数
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定常な鉛直2次元エスチャリーの力学的構造に関する研究を解析的に行なった.水深, 幅が一定の矩形エスチャリーで, 渦動粘性係数, 渦動拡散係数が空間的に一様な場合を取り扱った.エスチャリーの代表的な水平スケールが内部状態に依存すること, およびプラントル数が鉛直成層強度に依存することを考慮すれば, かなり広範なパラメタレンジで運動量のバランスが線型になることが示された.「線型状態」を, 運動量のバランスが線型な状態と定義すると, 線型状態は塩分輸送のバランスからさらに拡散段階, 中間段階, 移流段階に分けられる.上流向き塩分輸送は, 拡散段階では主に水平拡散に担われるが, 移流段階では鉛直循環流による移流に担われる.線型状態はいわゆる強混合および緩混合状態に対応するが, 線型状態の移流段階は, 緩混合状態の中でもかなり弱混合状態に近い状態であると考えられる.また鉛直平均塩分の縦 (主軸) 方向の分布は, 拡散段階ではexponential, 移流段階ではほぼlinearになることが明らかになった.