著者
西村 三郎
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.109-116, 1958-10-25 (Released:2011-06-17)
参考文献数
46
被引用文献数
1

1) 日本列島対馬暖流域におけるハリセンボンの移動=洞游,とくに本州および北九州の西岸において冬季顕著にみられる集団接岸現象, すなわち“寄り”の機構に関してひとつの仮説を提示した.2) 九州南方の低緯度海域で発生したハリセンボンの稚・幼魚は黒潮および対馬暖流によつてはこばれて日本海に流入する. その時期は6~11月ごるであろう. 対馬・九州近海でみられるハリセンボン出現の夏のピークはこの流入する北上群に由来するものであろうと考えられる.3) 日本海に入つた魚群は暖流主流軸に沿つてはるか沖合を北上するためにあまり眼につかないが, 暖流は本州北端において沿岸に収歛するので, 津軽海峡近海ではふたゝびこの北上群が認められるようになる. 魚群の一部は海峡を通過して太平洋に出, 一部は陸奥湾内に流入し, 一部は北海道西岸を北上する. この分派の割合は季節によつて異なるであろう.4) になつて,北西季節風が卓越するようになると,それによつてひきおこされた優勢な吹送流によつて,夏の間日本海の沖合部に滞留していた,あるいはそこを通過中のハリセンボン群は南~南西方向に押しながされて本州沿岸部に達し, シケのときには浜辺にうちあげられたり, 沿岸の定置網などにのつたりして, いわゆる“寄り”現象を呈するのであろう. この南下群の一部はさらに本州に沿つて押しながされて北九州の沿岸に達し, こゝにも“寄り”を生起せしめるのであると考えられる.
著者
長屋 裕 中村 清 佐伯 誠道
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.20-26, 1971 (Released:2011-06-17)
参考文献数
14
被引用文献数
14

北太平洋および日本近海海水中のストロンチウム濃度を原子吸光光度法によって測定し, Sr/Cl比を算出した.ストロンチウムの平均濃度は8.08mg/kg, 平均Sr/Cl比は0.425mg/kg/‰ であった.Sr/Cl比の海域別, 深度別変動は5%以下であって, 分析誤差を考慮すればSr/Cl比はほとんど一定である. また, ミリポアフイルター (0.22μ) によって分離される粒子状Srは存在しないと考えられる.これ等の結果は大西洋についての最近の報告とは一致しない.
著者
小川 数也
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.54-60, 1974-04-30 (Released:2011-06-17)
参考文献数
34
被引用文献数
4

Some experiments were carried out to explain the in situ phenomena that the number of coliform organisms decreased rapidly from estuaries to offshore, and also at deeper layer, and that the appearance of coliform types varied.In natural seawater, experimental results did not show that Escherichia coli was extinct by self-purification or anti-biosis action of seawater, but it showed that this organism decreased mainly because of their starvation caused by lack of nourishment. Although the decreasing rate of bacterial density was delayed in enriched seawater, addition ofnutrient even at the time of bacterial extinction promoted the appearance of variated form of this bacteria with floc formation.Flocculation of bacterial cells was influenced by quality and quantity of added nutrients. Temperature was shown to have an effect on the floc formation, but appearance of variated form in flocculated cells of E. coli was not affected by temperature. Flocculated particles of coliform bacteria were adsorbed on suspended particles in seawater and precipitated rapidly. This phenomenon seems to be a cause of the rapid disappearance of coliform bacteria in coastal waters.In bottom deposits the coliform bacteria probably survive longer as physiologically variated forms when suitable nutrients were supplied.
著者
古賀 文洋
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.16-20, 1968-02-29 (Released:2011-06-17)
参考文献数
7
被引用文献数
10

橈脚類には他の甲殻類にみられるように産卵後, 卵塊や卵嚢を体の一部に付着させる種類と水中に浮遊性卵を産出するものとがある.本論では境脚類の浮遊性卵についてC. GROBBEN, J. SφMME, S. M. MARSHALL etc. によって記載されたCalanus 類, M. OBERGによるCentropages, M. W. JOHNSONによるTortanusの卵などに著者が観察した数種類の卵を記載し考察を加えた.浮遊性卵には特別な浮遊適応をしたものと, しないものがある. 浮遊適応をしない卵で典型的なものはCalanidaeの卵である. 浮遊適応をした卵には膠質状のケースの中にあるEucalanus, 刺やいぼ状の突起を持つCentropagesや赤道面が平板状になったケースを持つTortanusの卵などがある.
著者
関 文威 Claude E. ZOBELL
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.182-188, 1967-08-31 (Released:2011-06-17)
参考文献数
18
被引用文献数
12 12

カルフォルニア大学研究船アルゴ号による日本海溝の海洋微生物調査 (Scripps' Zetes (Deepac X) Expedition) の一環として, 次のことが判明した.ラマポ海淵付近の深さ9,500m周辺の海底堆積物中に生存する微生物は, 表層堆積物1キログラム当たり, 1日ほぼ1.0μgCの炭酸暗固定を行なっている. また, 海底直上水中の微生物も, 海水1リットル当たり, 0.22から0.32μgCの固定を行なっている.
著者
田辺 信介 立川 涼 河野 公栄 日高 秀夫
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.137-148, 1982
被引用文献数
109

西部太平洋, 東部インド洋および南極海の大気と表層海水に残留するHCH異性体とDDT化合物を測定した.世界的に広く使用されているHCH(BHC)やDDTなどの有機塩素系農薬が, 南極周辺の大気や海水にも検出可能な濃度で存在するすとが今回見出されたが, その他南北両半球の外洋環境からも検出され, 地球規模で汚染の進行していることが明らかとなった.<BR>大気および表層海水に残留するHCH異性体は, 南半球に比べて北半球の濃度が高い.一方, DDT化合物は, 熱帯域で高濃度分布が認められたものの, 南北両半球間の濃度差は少く, HCHの分布とは明らかな違いが認められた.さらにDDT化合物組成はρ, ρ'-DDTが50%以上を占め, 海域間の差はほとんど認められなかったが, HCH異性体の組成は, 北半球では酢HCH>γ-HCH>β-HCH, 南半球ではγ-HCH>α-HCH>β-HCHであった。<BR>海域問で物質の分布に差が見られ, あるいは物質の種類間でも分布に特徴が認められることは, 世界における農薬の使用状況および物質の物理化学性に加え, 地球規模での大気の大循環, とくにハドレーセルやフェレルセルなどの空気塊の存在も関与していることが示唆された.
著者
松本 英二 横田 節哉
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.108-115, 1978-06-30 (Released:2011-06-17)
参考文献数
12
被引用文献数
20

The accumulation rates of sediment cores in Osaka Bay have been determined by using 210Pb dating technique. In the upper 10 cm 210Pbex contents show a constant value with depth. The accumulation rates below the homogeneous layer of sediments ranging from 0.12 to 0.61 cm y-1 (0.067-0.34 gcm-2y-1) were obtained. The higher contents of Zn, Cu, Pb and Cr were observed in the upper 10 to 30 cm of sediments. Assuming that the increment of heavy metal content in sediments is due to anthropogenic origin, the amount of anthropogenic input of heavy metals into sediments were estimated to be 1, 300-2, 700μg cm-2 for Zn, 150-480 for Cu, 360-410 for Pb and 320-480 for Cr. The increment appears to start about 100 years ago. In surfical sediments most of heavy metal contents exceeded the background content, and thenmost part of Osaka Bay is polluted by heavy metals.
著者
日比谷 紀之 梶浦 欣二郎
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.172-182, 1982-07-25 (Released:2011-06-17)
参考文献数
8
被引用文献数
13 192

長崎湾内で通例は冬期にしばしば見られるあびきが, 1979年3月31日に長崎海洋気象台観測史上最大の規模で発生した.これを例として, 数値シミュレーションを行ない, その発生機構について, 定量的な考察を試みた.その結果, 湾内の顕著な振動 (長崎験潮所で最大潮位差278cmを記録) は, 東シナ海を, ほぼ東向きに, 約110kmh-1の速度で進行した振幅約3mbの気圧波によっておこされたとすれば説明できることがわかった。また, その発生の過程については,1) 東シナ海大陸棚上での気圧波との共鳴的カップリングによる海洋長波の振幅10cmに及ぶ増幅3) 長崎湾内での浅水増幅および反射干渉による増幅;3) 長崎湾の固有振動系と, 五島灘領域の振動系との干渉による共鳴増幅効果など, 数段階の増幅作用が絡んでおり, これらによって生成された約35分周期の一連の波によって, 同湾の固有周期に相当する36分および23分周期で共鳴的に増幅されたことが, 定量的に結論づけられた。
著者
平野 茂樹 小柳 卓
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.145-147, 1981
被引用文献数
1

<SUP>60</SUP>Co (II)-アミノ酸錯体の安定度定数をイオン強度μ=0.67の過塩素酸ナトリウム水溶液中で求めた. 安定度定数の値は. Co-フェニルアラニンについて, Iogβ1=4.4, 10gβ2=8.2, 10gβ3=11.7, Co-ヒスチジンについてlogβ=7.4, Co-バりンについて109β1=4.3, 109β2=8.5, Co-プロリンについて1ogβ1=4.1, Co-チロシンについてlogβ1=7.2であった. これらの安定度定数を用い, 各アミノ酸の海水中の濃度を10<SUP>-7</SUP>~10<SUP>-8</SUP>moll<SUP>-1</SUP>と仮定して化学平衡になった状態の各錯体の存在割合を計算により推定した. <SUP>60</SUP>Coが廃液として海水に放出された後の短時間ではアミノ酸錯体より無機錯体の割合の多い事が推定された.
著者
杉ノ原 伸夫 深澤 理郎
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.315-336, 1988
被引用文献数
23

底層水の生成域を内部に持ち, 南北両半球にひろがる海洋の冷却過程を数値的に研究した. モデル海洋は初期に一様な水温の海水で占められている. 計算の過程では, 表面を一様に加熱する一方, 南半球の最高緯度帯で底層水を生成させた.<BR>計算初期においては, 生成された底層水は, ケルビン波的な密度流の形態を呈しつつ南半球海洋の西端に沿って北上した後, 赤道に沿って東進する. 海洋の東端に達した底層水は, ケルビン波的な密度流の形態で極向きに移動すると同時に, ロスビー波的な密度流を形成することによって西方へも広がり, 内部領域に極向きの流れを引き起こす. 底層水が西端に達すると, そこに西端境界流が形成される. この時から, 南半球海洋の西岸を北上する底層水が, 赤道を越えた北半球海洋の西岸境界流に直接補給されるようになる. 中深層においては, 内部領域および沿岸での湧昇によって下層から順に冷やされて行くが, その過程で, 底層水と周囲の暖かい海水とが混合し, 温度躍層は, 加熱層 (最上層) の下端に留まらず, より深層にまで広がる傾向が見られる. その結果, 湧昇速度は温度躍層の下部で最大となり, ストムメル・アーロンズが示したような内部領域での流れの形態は底層付近にのみ再現される. また, 赤道に沿っては鉛直高次モードの運動が卓越し, 流速場は, 東向流と西向流が互い違いに重なった構造 (ziggy structure) になる.
著者
奥田 邦明
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.221-226, 1973-10-31 (Released:2011-06-17)
参考文献数
6

強い風によるかきまぜが存在する時, 琵琶湖の季節的なサーモクラインの最上部において短周期の温度変動に関する観測を行った.観測期問, 温度の鉛直分布は混合層の底において不連続的に変化し, そのすぐ下の2m程度の厚さの内部境界層において, 大きな勾配を持っていた. 内部境界層における最も卓越した擾乱は, 2分から3分の周期で, 振幅は約1mであった. そして, それらは5分から10分の間隔で間歇的に発生し, 生成, 消滅を繰り返していた.このよな結果から, それらはシアーによる不安定性機構によって発生したこと, そして, それらが風による季節的なサーモクラインの浸食過程を支配している可能性があることが示唆される.
著者
久保川 厚 花輪 公雄
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.247-259, 1984-08-25 (Released:2011-06-17)
参考文献数
11
被引用文献数
1 27

ポテンシャル渦度が有限でかつ空間的に一様な, 海面上に密度前線をもつ沿岸密度流に付随する半地衡性重力波 (Semigeostfophic gravity wave) について調べた. その結果, 沿岸密度流には2種類の半地衡性重力波が伴うことが判った. 本論文では, この2種類の波動を半地衡性沿岸波 (SCW) および半地衡性前線波 (SFW) と名付けた. SCWはある極限でケルヴィン波に一致する波動であり, SFWは前線の存在に本質的に帰因する波動である. 前者は岸での上層の厚さと前線での岸に沿う方向の流速変動として主に現われ, 後者は海流の幅の変動として主に現われる. また, これらの波動は弱非線形性と非地衡性を考慮するとKortweg-de Vries方程式に支配されることを示した. このことは, 沿岸密度流の局所的な変動が波動状擾乱として伝搬しうることを示唆している.
著者
川辺 正樹
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.95-107, 1982
被引用文献数
98

対馬海流は日本海中央部において複雑な蛇行路をとるのに対し, 対馬海峡付近では比較的整然とした流路をとり, しばしば3本の分枝流が見出されてきた. しかし, その構造や変動についてはほとんどわかっていない. そこで, 水温・塩分・潮位データを使って, おもに対馬海峡付近での対馬海流の性質を調べ, 次のような結果を得た.<BR>第1分枝 (日本沿岸分枝) の存在は, 塩分分布によって少なくとも3月から8月に認められる. 第3分枝 (東鮮暖流) は常に存在している. 一方, 第2分枝 (沖合分枝) は6月から8月にかけての夏季のみ存在する.<BR>主密度躍層は, 深さ150mから200mで日本側の陸棚上のゆるやかな海底斜面に交叉している. 第1分枝は, おおよそこの交叉位置より岸側を占めており, 第2分枝は交叉位置付近から沖側に位置している.<BR>釜山・厳原間, 厳原・博多間の潮位差によると, 表面流速・流量の季節変化は, 対馬海峡東水道では非常に小さく, 西水道では大きい. しかも, 西水道で表面流速・流量の増大する期間は, 第2分枝の存在する期間とよく一致している.<BR>以上の結果は, 海底地形や密度成層, および対馬海峡西水道での流入流速・流量の季節変化が, 第2分枝の形成に重要な役割を果たしていることを示唆している.
著者
角皆 静男 辺見 隆
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.67-72, 1971 (Released:2011-06-17)
参考文献数
7
被引用文献数
80

表面海水でのヨウ素イオンとヨウ素酸イオンとの関係を知る目的で太平洋海水中のヨウ素を測定した. その結果を角皆と佐瀬によるヨウ素イオンの生成機構と関連させて議論した. 全ヨウ素濃度はほぼ一定で平均値は0.41μg at./lであるが, ヨウ素イオン濃度は測定限界以下から0.21 μg at./lまで大きく変動した. ヨウ素イオンの鉛直分布ではその最大値はしばしば表層に現われるが, 表層では水温20℃ 以上の暖水 (平均0.10μgat.l) の方が冷水 (0.03μg at./l) 中のものより濃度が高い. 暖水中でも最も濃度の高いのは赤道海域の表層水 (0.13μgat./l) で, ここでは活漫な生物活動がみられる. 一般に, 冷水でも生物活動の活溌な水にヨウ素イオンは多い.これらの事実は提案されたヨウ素イオンの生成機構とは矛盾しない.
著者
角皆 静男 西村 雅吉 中谷 周
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.153-159, 1968-08-31 (Released:2011-06-17)
参考文献数
12
被引用文献数
20 20

海水のカルシウムおよびマグネシウム含量を測定した. 西部北太平洋において, 平均濃度は, 塩素量19.00‰の海水で, カルシウムについて0.4049g/kg, マグネシウムについて1.2684g/kgであった. また, カルシウム/塩素量比, マグネシウム/塩素量比の平均値は, 0.02131および0.06676であった. カルシウム/塩素量比は深さと共に増大するばかりでなく, 表面水でも水塊によって異なることがわかった. それゆえ, カルシウム/塩素量比は水塊のトレーサーとして使うことができる. そのような傾向はマグネシウム/塩素量比ではみられなかった.
著者
池田 勉
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.173-180, 1978-08-30 (Released:2011-06-17)
参考文献数
27
被引用文献数
2

This paper reviews the author's research on metabolic activities of marine zooplankton for which the Okada Prize of the Oceanographical Society of Japan was awarded in 1978. The term metabolic activities used here refers to various physiological rate processes of zooplankton, such as respiration, excretion, feeding and growth.On the basis of experimental data obtained by the author and other workers, it is emphasized that all these rates are power functions of the body weight of zooplankton. In other words, the weight specific rates (rates per unit body weight) increase with a decrease in body weight. The habitat temperature of zooplankton can also affect the level of these rates.The relationship between these rates and body weight established experimentally can be applied to the estimation of the total rates of a zooplankton community in the field, by knowing the size distribution of individual zooplankters. The feasibility of this method was tested with the zooplankton community in the Kuroshio region.Finally, the potential importance of microzooplankton in total zooplankton respiration was suggested, based on respiration rate data recently obtained in the author's laboratory.
著者
平 啓介 寺本 俊彦 北川 庄司
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.181-192, 1985
被引用文献数
5

アーンデラ水晶圧力計を用いて, 相模トラフの2, 036m水深点, 駿河トラフの2, 538m水深点, そして南大東島沖の32m水深点で海底における水圧変動の通年観測を行なった. 潮汐の各分潮の振幅と位相を応答法を用いて評価した. 気象庁の沿岸観測値との比較によって, 水晶圧力計による潮汐の観測精度が十分に高いことがわかった. Schwiderski (1979, 1981) の潮汐の全球モデルの計算結果と, 主要8分潮について比較し, 振幅は3cm以内, 位相は15。 以内で一致することがわかった. 海底圧力の変動は潮汐が卓越していて, 主要8分潮を除いた剰余の分散は, もとの分散の1.5%以下であった. 圧力計の指示値のドリフトのため, 海流の変動や渦の移動によって生ずると思われる長周期変動の解析はできなかった.
著者
平 啓介 寺本 俊彦
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.388-398, 1985
被引用文献数
1 17

南海トラフを横断する3点と相模トラフの2点において, 1982年5月から1984年5月まで底層流の直接測定を行ない, 平均流と変動流の特性を調べた.アーンデラ流速計を海底上7rnに係留した.南海トラフの平均流は, 流速0.9-2.1cm sec<SUP>-1</SUP>の反時計まわりの循環があることを示した.トラフ斜面上の方が, 平坦なトラフ底部より流速が大きかった.相模トラフでは相模湾に流入する平均流が観測され, 本州東岸にそって南下する親潮潜流の一部と考えられた.周期100時間以上の変動流の分散は, いずれのトラフにおいても八丈島西方の測点に比べて小さかった.相模トラフの北斜面上で, 周期66.7時間の, トラフ軸に平行に流動する強勢な流速変動が観測された.相模トラフで最大流速49cmsec<SUP>-1</SUP>が観測された.