著者
富安 郁子 浦上 智子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.451-457, 1977

極度に加熱した油とその揮発生成物中に毒性物質が存在するという最近の報告より, 揮発生成物の分析によって天ぷら油の安全使用の指標を得ることができるか試みた.<BR>大豆油を継続的に180℃で30時間加熱し, その間にじゃがいも, 鶏肉, 豆腐, 鯨肉, 鯖, ピーマンと水を添加した綿球 (対照) をおのおののたねものからでる水分量を一定になるように調節しながらフライした.このように調整した試料油の揮発物を直接に二硫化炭素中へ導く窒素気流で蒸留し, その濃縮物をガスクロマトグラフィー (GC) とガスクロトグラフィー-質量分析計 (GC-MS) で分析した.<BR>GCによるピーク数および相対的量には試料油間にはっきりした違いはなかった.低沸点部ではアルカナール, カプロン酸1-オクテン-3-オールが, 高沸点部ではデカナール, デカジエナール, 7-フェニールヘプタノイック酸が検出された.7-フェニールヘプタノイック酸は毒性があると考えられる.<BR>加熱時間が増加するに従い低沸点部は減少し高沸点部は増加の傾向を示した.<BR>揮発物のTLC分析 (ベンゼン, ヘキサン, 酢酸, 70 : 30 : 2) の結果3つのスポットを得たが, <I>Rf</I>値0.4のスポットは上に述べたフェニール化合物を含み278nmに強い吸収を示すことがわかった.

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