著者
沼田 眞
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-10, 1984

植生帯と気候帯の関係はマクロにはよく一致するが, それは静気候学的観点に立った温度と降水量で説明される.日本の極相林帯は気候型との関連でたびたび論じられているが, ヨーロッパの考え方と一致しない.とくに亜寒帯や亜熱帯, ひいては温帯の概念が違う.ブナ林やカシ林の現在および氷河時代の北限と南限が年平均気温や最寒月の月平均気温との関係で論じられた.このごろの世界の植生図では, 気候の名称を冠さないで図化する方法がとられることが多い.しかし, 日本の植生帯やHoldridgeのシステムでは, 植生帯と気候帯を直接対応させている.<BR>また, 水平および垂直的な植生帯区分については多くの試みがあり, 極相, 二次植生, 群系, 群集, 植物気候, 植物区系, 種の分布などによる方法が可能である.<BR>一方, 気候帯区分については, 風系や気団による動的気候学の見方に基づくものが提案されている.つまりグローバルな大気循環に基づいて, 水平的な気候帯のみならず, 山の垂直的な気候帯を考えることも可能であり, その見地から植生帯を見直すことが必要である.

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