著者
藤田 矢郎
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.162-168, 1966

1965年6月22日, 長崎市郊外の野母崎沖でサバフグの入工授精を行い, ふ化仔魚を約1か月間飼育し, 卵発生およびふ化仔魚について次の結果を得た。<BR>1. サバフグの卵は無数の小油球からなる油球塊を有する無色透明な球形の沈性卵で, かろうじて認められる程度の微弱な粘着性があり, 卵径0.61-0.70mm, 平均0.65mmである。<BR>2. 水温21.7-24.5℃で, 授精後67時間でふ化する。本種の卵発生においては, 発生後期・に油球の癒合が行われ, ふ化直前には大油球2-3個と小油球1-2個になるが, これは他のフグ類 (Fugu属およびSphoeroides属) の卵発生にはみられない特異な現象である。<BR>3. ふ化直後の仔魚は全長1.91mm, 筋節数8+13=21で, 卵黄は細長い楕円形で, 大油球2-3個と小油球1-2個があり, 魚体はやせ長い。<BR>4. ふ化後24時間頃から, 仔魚膜鰭は異状に発達し, 頭胴部においては特に巾広くふくらむが, これは本種の仔魚前期の特徴の一っで, 顕著な浮游生活と関連があるのではないかと推測される。<BR>5.ふ化後5日, 全長2.40mm内外で卵黄を吸収し仔魚後期に入る。<BR>6.ふ化後96時間でニワトリの卵黄に, 9日でブライ・ンシユリンプのノウプリウスに餌付きし, ふ化後26-31日で全長6.6mm前後になり稚魚期に達する。

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