著者
轡田 邦夫
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.68-80, 1988
被引用文献数
4

吐葛喇海峡における黒潮の流量の指標と考えられる名瀬・西之表間の水位差および遠州灘沖の黒潮流路の指標と考えられる串本・浦神間の水位差の経年変動と北太平洋上の海上風変動との間の関係を調べた.<BR>串本・浦神の水位差には直進流路と大蛇行流路の間の流路変動に対応する約7年周期の変動と3~4年周期の変動が卓越する. 約7年周期の変動は, 紀伊半島の約2, 400km東方の海域における海上風応力の回転 (curl) と相関が高く, 黒潮の大蛇行流路の発生時期に対応する水位差の低下は, この海域の応力の負の回転が弱まってから約2年後に起きる. また, 3~4年周期の変動は赤道域東部を含む広域の海上風変動と相関が高く, 大規模な大気変動と関係あることが示唆された.<BR>名瀬・西之表の水位差の経年変動は, 串本・浦神の水位差との間に有意な相関を示さず, 遠州灘沖の黒潮流路の変動と関係ないことが示唆された. また, 北緯30度付近におけるスヴェルドラップ輸送の東西積分値との間に高い相関を示し, 海上風に対する順圧的な応答によって, 吐臈劇海峡における黒潮流量の経年変動が説明されることが示唆された.

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