著者
久村 正也 田代 典夫 川上 義和 宮田 康邦
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.31, no.11, pp.2995-2999_1, 1989

気管支喘息と消化管病変を伴った不全型Behcet病(腸管Behcet病)の1例を紹介し,その食道病変を中心に報告した. 症例は55歳,女性.再発性口腔内アフタ,嚥下痛,発作性呼吸困難を主訴として受診した.既往歴に外陰部潰瘍,右膝関節炎があり,主訴出現時炎症反応陽性,針反応疑陽性などからBehcet病(不全型)と診断した.X線検査で中部食道に潰瘍性病変を認め,内視鏡検査で白苔を有する楕円形の食道潰瘍を証明した.注腸造影検査では回腸末端部に潰瘍および潰瘍瘢痕を認めた.食道病変を,その後48週に亙って内視鏡的に観察した.観察期間中,病変は中部~下部食道に多発し,大~小,びらん~浅深潰瘍,楕円~円~不整~タテ長形など病期的にも形態的にも多彩な変化を示した.本症例はBehcet病発病約4年後に非アトピー性気管支喘息を合併したが,両疾患の因果関係は現在のところ不明である.

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