- 著者
-
井川 佳子
- 出版者
- The Japanese Society of Applied Glycoscience
- 雑誌
- 応用糖質科学 (ISSN:13403494)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.4, pp.517-524, 1996
市販サツマイモ澱粉(わらび餅粉)の性質と粒子径分布,無機質の組成と量,脱脂処理との関係を知る目的で実験を行い,次のような結果を得た. 1)澱粉の石灰水処理および無機質の量と組成は,澱粉糊液の性質や澱粉ゲルの性質に大きな影響を与えなかった. 2)大粒子の多い試料は小粒子の多い試料に比べ,その糊液においてブレークダウンがやや大きく,冷却時の粘度の戻りが小さいこと,また柔らかいゲルを形成することが示された. 3)脱脂により糊液のブレークダウン開始時期が早くなり,冷却時の粘度の戻りが減少すること,また,よりかたさが小さく凝集性の高いゲルを形成することが示された. 以上の結果から,市販サツマイモ澱粉の糊液やゲルの特性は,澱粉粒の崩壊に対する抵抗性の変化と連動しており,この変化には粒子径分布の影響が大きいこと,また脱脂処理の影響も無視できないことを明らかにした.