著者
高橋 正弘 金子 精一
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医科学と統計利用
巻号頁・発行日
vol.1981, no.6, pp.21-25, 1981

「全国食中毒事件録」 (厚生省) に記載されている東京都および神奈川県の食中毒事例のうち, 原因食品, 原因物質, 原因施設および摂食場所の要因ならびに患者および死者数を用い, 各要因の相互関連を数量化理論第III類により解析した。検討した期間は1973~1977年の5年間である。原因食品は15, 原因物質は9, 原因施設は12, 摂食場所は8のカテゴリーにそれぞれ分け, 計4アイテム・44カテゴリーを解析に用いた。<BR>数量化理論第III類による解析では, 1973~1974年の各カテゴリーは腸炎ビブリオ系, それ以外の細菌性食中毒系, 不明系の3つの類似性をもった群に大別され, 食中毒の発生状況が異常であった1975~1976年は, 3群に明確に区別されないなど, 両者で異なる構造をもつことが推察された。<BR>つぎに, 患者数および死者数の増加に関与するアイテム・カテゴリーを数量化理論第I類で推定したところ, 患者数は, アイテムでは原因施設, 摂食場所, カテゴリーでは学校, 仕出し屋が強く関与し, 死者数は, アイテムでは原因物質, 原因食品, カテゴリーではボツリヌス菌, 自然毒, 野菜類がそれぞれ強く関与していることが明らかになった。<BR>このように, 数量化理論の応用は, 食中毒要因の相互関連を計量的に把握することを可能にし, その中から患者数・死者数を減少させるための行政対策を立案することができた。

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