著者
岩間 公男 宇根 ユミ 吉田 拓郎
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医科学と統計利用 (ISSN:18845606)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.11, pp.21-28, 1983-12-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
5

1962年から1982年の21年間に横浜市食肉衛生検査所で食用としてと殺された牛257, 340頭, 豚2, 408, 286頭, 馬1, 756頭, 緬山羊643頭について, 腫瘍の検出率および発生部位を調査するとともに, 検出された腫瘍 (牛114例, 豚716例) の病理組織学的分類を試みた結果, 次の成績が得られた。1) 牛における腫瘍の検出率 (10万頭あたり) は, 21年間の平均で44.3であったが, 腫瘍の検出されなかった1962, 1963年を除き, 13~102の間で変動した。豚における検出率は, 平均29.7であった。年次別には, それまで20以下であった検出率が, 1974年頃から急速に増加して, 1977年に最高 (104.5) となった後, 35~80の間で変動しながら, 除々に減少の傾向を示した。2) 家畜の種類・用途別にみた腫瘍の検出率は, 牛では乳用種66.9, 肉用種10.0, 豚では, 肥育肉豚14.4, 繁殖豚405.3で, 牛では乳用種, 豚では繁殖豚において検出率が有意に高かった (P<0.05) 。3) 腫瘍の好発器官 (上位5つ) は, 牛では消化器 (9.7) , 造血器 (8.5) , 生殖器 (7.8) および内分泌器 (6.6) , 豚では消化器 (14.3) , 泌尿器 (8.8) , 生殖器 (3.9) および造血器 (1.8) であった。4) 検出された腫瘍は, 病理組織学的に牛では38種類, 豚では25種類, 全体では50種類に分類された。しかし, 1個体に2種類以上の腫瘍が重複して認められた例はなかった。5) 検出頻度の高い腫瘍 (上位5つ) は, 牛では白血病嘲 (8.5) , 顆粒膜細胞腫 (5.8) , 副腎皮質腺腫 (3.1) , 肝細胞癌 (2.3) および肝腺腫 (1.9) , 豚では肝腺腫又は結節性増生 (13.9) , 腎芽腫 (8.7) , 白血病 (1.8) , 卵巣血管腫 (1.7) および子宮平滑筋腫 (1.5) であった。
著者
徳力 幹彦
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医科学と統計利用 (ISSN:18845606)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.7, pp.7-11, 1981-12-20 (Released:2010-05-31)
参考文献数
3
著者
高橋 正弘 金子 精一
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医科学と統計利用
巻号頁・発行日
vol.1981, no.6, pp.21-25, 1981

「全国食中毒事件録」 (厚生省) に記載されている東京都および神奈川県の食中毒事例のうち, 原因食品, 原因物質, 原因施設および摂食場所の要因ならびに患者および死者数を用い, 各要因の相互関連を数量化理論第III類により解析した。検討した期間は1973~1977年の5年間である。原因食品は15, 原因物質は9, 原因施設は12, 摂食場所は8のカテゴリーにそれぞれ分け, 計4アイテム・44カテゴリーを解析に用いた。<BR>数量化理論第III類による解析では, 1973~1974年の各カテゴリーは腸炎ビブリオ系, それ以外の細菌性食中毒系, 不明系の3つの類似性をもった群に大別され, 食中毒の発生状況が異常であった1975~1976年は, 3群に明確に区別されないなど, 両者で異なる構造をもつことが推察された。<BR>つぎに, 患者数および死者数の増加に関与するアイテム・カテゴリーを数量化理論第I類で推定したところ, 患者数は, アイテムでは原因施設, 摂食場所, カテゴリーでは学校, 仕出し屋が強く関与し, 死者数は, アイテムでは原因物質, 原因食品, カテゴリーではボツリヌス菌, 自然毒, 野菜類がそれぞれ強く関与していることが明らかになった。<BR>このように, 数量化理論の応用は, 食中毒要因の相互関連を計量的に把握することを可能にし, その中から患者数・死者数を減少させるための行政対策を立案することができた。