- 著者
-
三原 俊彦
平田 幸正
- 出版者
- 一般社団法人 日本糖尿病学会
- 雑誌
- 糖尿病 (ISSN:0021437X)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.3, pp.479-484, 1979
糖尿病患者の代表的な糖尿病性合併症とされている神経障害, 網膜症, 腎症 (蛋白尿) をどのような組み合わせで有しているかという点に関して, その実体を明らかにする目的で本調査を行った. 対象は, 1976年1月1日より1976年12月31月までの1年間に東京女子医科大学糖尿病センターを受診した1,191名の糖尿病患者である. 神経障害, 網膜症, 蛋白尿の有無による組み合わせよりI型-VIII型の合併症分類型を設定した. すなわち, I型はいずれの合併症も有しないもの, II型は神経障害のみを有するもの, III型は神経障害と網膜症を有するもの, IV型は神経障害, 網膜症, 蛋白尿のすべてを有するもの, V型は蛋白尿のみ有するもの, VI型は神経障害と蛋白尿を有するもの, 孤型は網膜症のみを有するもの, 粗型は網膜症と蛋白尿を有するものである。合併症分類型別頻度は, I型17.8%, II型16.4%, III型18.5%, Iv型15.7%, V型9.5%, VI型8.1%, 顎型10.0%, VIII型40%であり, I型, II型, III型, IV型の頻度が高かった.糖尿病罹病期間と合併症分類型との間には密切な関連がみられ, 罹病期間の短いものでは, I型, II型, V型が多く, 罹病期間の長いものではIII型, Iv型が増加した. しかし, VI型, VII型, VIII型においては, 糖尿病罹病期間の長短と頻度との間に密切な関係はみられなかった. 調査時年齢, 初診時朝食前血糖値と合併症分類型との間には著明な関連はなかったが, Iv型, VIII型において高血圧の頻度が高かった.