著者
青島 淳 山口 辰男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.5, pp.641-649, 1986
被引用文献数
3

高濃度溶液中の還元12-モリブドリン酸(PMo<SUB>12</SUB>)の溶存化学種とそれらの反応を, <SUP>31</SUP>P-NMRとポーラログラフィーを用いて検討した。還元度が4以下のPMo<SUB>12</SUB>の<SUP>31</SUP>P-NMRの化学シフトは, 50%ジオキサン水中で, α-PMo<SUB>12</SUB>(0):-3.6ppm, β-PMo<SUB>12</SUB>(0):-3.3ppm, α-PMo<SUB>12</SUB>(II):-5.8ppm, β-PMo<SUB>12</SUB>(II):-6.6ppm, α-PMo<SUB>12</SUB>(IV):-4.6ppm, β-PMo<SUB>12</SUB>(IV):-12.9ppmと帰属した。非還元水溶液中でβ-PMo<SUB>12</SUB>(0)のα-PMo<SUB>12</SUB>(0)への異性化はきわめて速く, 50%ジオキサン水中でβ-PMo<SUB>12</SUB>(0)の存在を<SUP>31</SUP>P-NMRで確認した。α-PMo<SUB>12</SUB>(0)の=二電子還元生成物は, 50%ジオキサン水中ではα-PMo<SUB>12</SUB>(II), 水溶液中では,α-PMo<SUB>12</SUB>(0), β-PMo<SUB>12</SUB>(II),β-PMo<SUB>12</SUB>(IV)の混合物となった。<BR>水溶液中で, α-PMo<SUB>12</SUB>(II)はβ-PMo<SUB>12</SUB>(II)に異性化し, っついてβ-PMo<SUB>12</SUB>(IV)とβ-PMo<SUB>12</SUB>(0)に不均化し, 後者は, ただちにα-PMo<SUB>12</SUB>(0)に異性化したものと考えられる。四電子還元溶液中は,β-PMo<SUB>12</SUB>(IV)のみが安定に存在した。α-PMo<SUB>12</SUB>(IV)は, 半減期が2.2時間(水中), 280時間(50%ジオキサン水中)でβ-PMo<SUB>12</SUB>(IV)に異性化する。α-PMo<SUB>12</SUB>(0)からβ-PMo<SUB>12</SUB>(IV)への還元に, α-PMo<SUB>12</SUB>(IV)を経由するものと, α-PMo<SUB>12</SUB>(II)の異性化によって生成したβ-PMo<SUB>12</SUB>(II)の不均化による二つの経路がある。水溶液中, 弱還元剤の作用は後者によることを明らかにした。

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