- 著者
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岩味 永夫
- 出版者
- The Japanese Society of Gastroenterology
- 雑誌
- 消化器病学 (ISSN:21851158)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.4, pp.573-592, 1942
犬ニ於ケル「アトファン」胃潰瘍ノ生成ニ關シテハ既ニ久米, 庄司, 武本及ビ岡田氏等ノ外, Wagoher, Barbour u.Flak等モ共ニ實驗的ニ證明セリ.余モ「キノフェン」ノ連續的經口的投與ニ依リテ全例即チ100%ニ胃潰瘍ノ發生スルヲ認メタリ.以下實驗ニハ「キノツェン」ノ連續酌經口的投與ニ依リ人工的胃潰瘍ヲ作リ, 之ニ「スチムリン」Mヲ皮下ニ注射シテ生理的食鹽水ヲ注射セシ對照例ト比較觀察セル成績ヲ發表セントス.<BR>糞便潛血反應ハ「スチムリン」M注射例ニ於テハ對照ニ比シ其ノ陽性度減少傾向大ナリ.<BR>體重ハ「キノフェン」投與後ニ於テハ何レモ滅少セをモ, 「スチムリン」M注射例ニ於テハ胃剔出前ニ於テ體重ノ復舊傾向ヲ見タルモ對照例ニ於テハ尚一層減少ノ傾向ニアリダリ.<BR>肉眼的所見トシテハ「スチムリン」M注射例ニ於テハ潰瘍面非常ニ小サク深ク陷凹セズ, 壊死組織・出血痕ヲ認メズシテ對照例ニ比シ治癒傾向非常ニ大ナルヲ認メタリ.<BR>組織學的所見トシテハ對照例ニ比シ粘膜上皮ノ再生高度ニ行ハレ肉芽組織ノ新生モ強ク, 一部結締組織ノ増殖ヲ認メ治癒傾向著シキヲ認メタリ.<BR>尚「キノフェン」ノ非經口約投與トシテ5%「ギトーサン」注射液5.0cc宛15日間注射セシニ全例ニ於テ胃幽門部粘膜ニ糜爛形成ヲ認メタルモ.「スチムリン」Mヲ同時ニ注射セシモノニテハ1例ニモ麋爛形成ヲ認メザリキ.<BR>以上ノ實驗ニ依リ「スチムリン」「ハゼキノフェン」胃潰瘍ニ對シテ治療的並ビニ豫防的ニ效果アル事ヲ認メタリ.