著者
三宅 捷太 田中 文雅 松井 潔 宮川 田鶴子 山下 純正 山田 美智子 岩本 弘子
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF CHILD NEUROLOGY
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.329-335, 1991

神奈川県立こども医療センター神経内科を受診し昭和45年5月~平成元年3月までに死亡した症例をてんかんに焦点をあてて検討した.<BR>1. 院内死亡総数2,244例中神経内科患者の死亡数は237例 (11%) で, その74%が重症心身障害児であった.<BR>2. 対象237例のうちてんかんをもつ例は128例 (54%) で, 死因は肺炎, 慢性呼吸不全, 誤嚥の三者が60%を占め, 直接死因が痙攣であったものは14%であった. また死亡場所は38%が自宅であった.<BR>3. 点頭てんかんを既往にもつ146例中16例 (11%) が死亡し周生期障害による症例が多く, その死因の約半数が呼吸障害であった.<BR>4. 乳児重症ミオクロニーてんかん8例中4例 (50%) が死亡し, 死因は3例が痙攣重積症で, 死亡場所は2例が自宅であった. 死亡例と生存例とを比較した結果, 臨床的に予後を推測させる明瞭な因子は認められなかった.<BR>5. てんかんが主たる障害で, その他の障害が軽微であった16例について分析した結果, 有熱性痙攣の既往と部分てんかんが多く認められた. 16例の死因は痙攣重積症10例, 短時間の発作 (手術後と学校の給食後) による急性死2例, 発作時の転倒による硬膜下血腫1例, 風呂における溺死1例, 病死 (肺炎) 1例, 詳細不明1例であった. 16例中7例の死亡場所が白宅であった. 自宅での死亡が多いことから, 発作への対処と呼吸管理の指導, 誤嚥などの事故防止が死亡の予防に重要と考えられた.

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