著者
河野 善行
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.253-261, 2002
被引用文献数
1

保湿は肌荒れに対して大変有効な手段であり, また化粧品の最も基本的かつ重要な機能と考えられる。そして多くの種類のエモリエント剤や保湿剤が皮膚の水分保持や乾燥を防御することを目的として用いられてきた。角質層においては, 自然保湿成分 (NMF), 皮脂および細胞間脂質の重要性が証明されてきた。皮膚科学的なアプローチの観点からわれわれは皮膚保湿のメカニズムのアナロジーを皮膚上で再構築してきた。具体的には肌荒れに対して, 水, 保湿剤および脂質を等価に皮膚に補う"モイスチャーバランス"の有用性を証明してきた。これらとは別に化粧品の開発に薬理学的なアプローチの観点も重要であり, 新規な化粧品有効成分の開発に大変役に立つ方法論である。近年われわれは, 肌荒れにおいて表皮プロテアーゼが重要な役割を果たすこと, またその活性を阻害することが修復を促すことを明らかにしてきた。そして表皮プロテアーゼであるプラスミンの阻害活性を有し, 肌荒れに効果を有する<i>t</i>-AMCHAを開発した。本総説では, 皮膚の保湿のメカニズムと, 皮膚科学的にまた薬理学的に開発されたスキンケア化粧品についてレビューする。

言及状況

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