著者
西島 貴史
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.3-9, 2009-03-20 (Released:2011-12-06)
参考文献数
12
被引用文献数
2

毛穴目立ちは多くの女性のもつ悩みの一つであるが,その目立つ原因は明らかになっていない。われわれは生体用レーザー顕微鏡を使用して頬の表皮構造を詳細に観察し,毛孔周囲が凹んでいる毛孔では特徴的な表皮の構造をもつことを明らかにした。この表皮構造は表皮が非常に深くまで落ち込んでおり,非常に長く伸長した真皮乳頭をもつことを特徴としていた。この表皮構造は表面の凹みと面積・形状が同じであることから,頬において毛穴が目立つ一因であると考えられた。そこで,表皮の収縮に着目して表皮構造を改善する剤の探索を行い,表皮細胞の収縮促進と増殖抑制の効果をもつ1-イソステアリルグリセロール-3-リン酸を見出した。ヒトでの使用試験の結果,1-イソステアリルグリセロール-3-リン酸は表皮構造に変化を起こさせ,目立つ毛穴に対する改善効果をもつことを確認した。今回,これら表皮に着目した毛穴目立ち改善へのアプローチについて報告する。
著者
久留戸 真奈美 河野 弘美 塩原 みゆき 池田 祐子 竹内 直人 林 洋雄
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.329-333, 2011-12-20 (Released:2013-12-20)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

化粧用コットンは,主に化粧水のパッティングやメイク落としなどに使われている。昨今は,さまざまな化粧用コットンがみられ,その使用方法もパッティングのみならず,パックにも広がり,スキンケアにおける重要なアイテムとなっている。本実験では,化粧用コットンによるパッティングのスキンケア効果を一般女性30名で調査した。「パッティング」により,肌の水分保持能を高める効果が認められ,被験者自身による有意なスキンケア効果実感が確認された。
著者
川崎 由明 坂本 一民 Maibach Howard I.
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.55-61, 1996
被引用文献数
1

5種類のアミノ酸 (L-リジン塩酸塩, グリシン, L-グルタミン酸モノナトリウム, L-プロリン, L-スレオニン) をアミノ酸のモデルとして選定し, ヒト皮膚に於けるそれらのpH 7.4水溶液からの<i>in vitro</i>経皮吸収挙動をラジオアイソトープを用いて種々検討した結果, ヒト角質層はアミノ酸経皮吸収に対して大きなバリアとなっていることが明らかになった。また, 正常皮膚に於けるアミノ酸経皮吸収流束とアミノ酸のlog P (オクタノール/水) の間に負の相関関係が確認されたことから"マイクロチャンネル"の存在が示唆される。更に, グリセリンやPCAナトリウム等を共存させた場合, L-プロリンの皮膚透過量は殆ど変化せずに, 表皮への吸着量は増大したことから, ヒト表皮はアミノ酸のリザーバーとしての役割を果たしていると考えられる。
著者
山本 眞理子
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.351-358, 2000-12-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
14

本総説は, 顔の印象を中心として外見が自己および他者に与える影響について, 筆者の研究を中心としながら, これまでの研究を概観したものである。まず, 印象を変化させるための外見の操作の問題を取りあげ, 同じ外見でも印象を変化させにくい側面とさせやすい側面とがあること, また, その操作可能性の高さによって変化させられる印象の内容に違いがあることが指摘された。ついで, 外見の情報が他者に関する情報処理の, 特に初期の段階に大きな影響をおよぼしていること, また, その影響の背後には, 外見のステレオタイプの存在があることが指摘されている。さらに, 外見の特徴により自他の行動がどのように影響されるのかその特徴が述べられている。最後に, 外見を通して自己の印象を管理するプロセスと, 自己の印象の管理に敏感な人とそうでない人との間に存在する個人差が議論された。
著者
金田 泰雄 村松 宜江 高橋 きよみ
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.280-288, 1993-03-22 (Released:2010-08-06)
参考文献数
2
被引用文献数
1

Many Japanese women are concerned about the darkness of their skin. However, the treatment for skin darkness have not, until now, been thoroughly tackled because of vagueness of skin darkness.Our study is aimed at clarifying skin darkness.Firstly, a questionnaire on the awareness of skin darkess was conducted on 975 Japanese women to determine the average consumers interpretation of “darkness”. Secondly, evaluations on “subjective” and “objective” darkness in female faces were simultaneously conducted on 167 women with the aim of grasping the relation between subjective and objective darkness in the same person. Finally, components of “objective darkness” were examined, and the following information was obtained.The awareness of skin darkness among Japanese women can be expressed by two factors: a “blackish” factor, and a “drooping” factor, associated with morphological elements.The evaluation of darkness requires the specification of facial sites because degrees of agreement between subjective “darkness consciousness” and objective “darkness impression” are different according to the sites.Components of darkness impression are color tone and morphology. A moderately deteriorated morphology in particular was assumed to have influence on the darkness impression similar to the color tone.
著者
小林 和法 倉沢 真澄 丹 美香 工藤 大樹 赤塚 秀貴 大場 愛
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.212-217, 2011-09-20 (Released:2013-09-20)
参考文献数
2
被引用文献数
1

肌の「ハリ」は理想の肌の要素のひとつとして挙げられることが多い。従来「ハリ」といえば肌に触れたときの感覚としてとらえられ,真皮にアプローチした改善策がとられてきた。しかしわれわれは,「ハリ」には視覚的要素も含まれていると考え,視覚的なハリという点に着目して検討を行った。健常日本人女性の顔面を対象に行った肌の官能評価スコアを用いてクラスター分析を行ったところ,「目で見て感じるハリ (視覚的ハリ) 」は「視覚的うるおい感」と非常に距離が近く,一方で「触覚的ハリ」とは別のクラスターに分類されることがわかった。また,視覚的ハリは角層水分量や経表皮水分蒸散量と関係することがわかった。この結果から,角層水分状態の改善が視覚的ハリの向上につながるのではないかと考え,化粧料の連用試験を行い,角層水分状態が改善されたときに視覚的ハリスコアがアップするかどうかをみたところ,角層水分量の有意な増加とともに視覚的ハリの有意な向上が確認され,一方で触覚的ハリには有意な変化が認められなかった。これは,視覚的ハリと触覚的ハリには,それぞれに最適な改善アプローチが別々に存在する可能性を示唆している。
著者
酒井 裕二
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.109-118, 1999-06-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
38

われわれは洗顏により, 余分な皮脂や過酸化脂質, さらには肌上に吸着した空気中のほこり等を取り除くことで, 肌を清潔に保つことができる。洗顏料を開発するうえで考慮すべき要素として, 機能性, 皮膚安全性, 使用法の3点があげられる。これら3要素はおのおの密接に関係しており, どれか一つ欠けても洗顏料として満足する品質は得られない。またこの3要素に最も影響を与えるのが, 洗浄機能主剤の界面活性剤である。すなわち, この界面活性剤の特性を把握しつつ, 各要素をバランスよく高質化することこそ, 肌に理想的な洗顏料開発を可能にする。今回は, この3要素を中心にこれまで検討してきた研究を報告し, 理想的な洗顏料のあるべき姿について考察した。
著者
井下 美緒
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.169-176, 2014-09-20 (Released:2016-09-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

近年,紫外線から肌を守りたいという意識の高まりを背景に,海・山などのレジャー用に限らず,日常的に紫外線防御化粧品が使用されるようになり,求められる機能が多様化している。紫外線防御効果だけではなく,「塗布時の透明性」,「保湿性」,「やさしいつけ心地」など,肌に負担の少ない使用感が望まれている。本稿ではこのような紫外線防御効果とともに使用感や保湿性を重視した紫外線防御素材とその製剤化技術について紹介する。
著者
舛田 勇二 國澤 直美 高橋 元次
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.201-208, 2005-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
10
被引用文献数
3 4

肌の透明感は美しい肌の大きな要因の一つである。しかし, 現時点では実用的な評価法は美容技術者による視覚評価しかなく, また, どのような皮膚生理特性がいかなる作用で透明感を変化させるかについては明らかになっていない。本研究の目的は, 光学的手法を用いて肌の透明感を客観的に評価する方法を確立することと, 透明感に与える皮膚生理特性の作用機序を明らかにし肌の透明感向上に高い効果のある商品を開発することである。ゴニオメーターの入射光部と受光部に偏光フィルターを組み込むことで反射光を拡散反射成分と鏡面反射成分に分離して計測可能な光学測定機器 (変角偏光反射率測定装置; 偏光ゴニオメーター) を開発した。偏光ゴニオメーターにより計測される鏡面反射光および拡散反射光と透明感との関係を解析した結果, 透明感と拡散反射光の強さには高い正の相関 (r=0.699) があることが判明した。一方, 鏡面反射光とはほとんど相関 (r=0.190) がなかった。透明感と皮膚生理特性間でのPLS解析 (Partial Least Square Analyses) の結果から, 透明感の高い肌はキメが細かく整っており, 角層水分量が多く, メラニン量, ヘモグロビン量が少ないことがわかった。透明感のある肌の皮膚生理要因に対応させて「美白剤」「血行促進剤」「高保湿剤」を配合した美容液を作製し, 一般女性パネルを対象に8週間の連用効果試験を実施した。連用後において偏光ゴニオメーターによる拡散反射光は統計的有意差をもって増加し, 被験者の自己評価においても透明感の向上が認められた。
著者
舛田 勇二 高橋 元次 佐藤 敦子 矢内 基弘 山下 豊信 飯倉 登美雄 落合 信彦 小川 克基 佐山 和彦
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.202-210, 2004-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
3
被引用文献数
5 5

美容上問題となる「目の下のくま」の発生要因として, 一般的に血流の停滞が言われているが, 実際にくまと血流の関係について調査した報告は少なく, また, くまについて皮膚生理学的に論じた報告もほとんどない。そこで本研究では, 非侵襲的な方法を用いくまを皮膚科学的に解析し, その要因を明らかにするとともに, その対応を考え, 「目の下のくま」改善効果の高い商品の開発を行った。くまの発生要因を明らかにするために, くまのある女性とない女性を対象に, 眼下部の皮膚メラニン量, ヘモグロビン量およびヘモグロビン酸素飽和度, 血流速度の計測を実施した。くまのある女性の眼下部では, ヘモグロビン量の増加およびヘモグロビン酸素飽和度の減少が観察された。くま部位では頬と比較して血流速度の低下が見られたことから, 上記結果は血流の停滞により引き起こされたと考えられる。またメラニン量の増加も同時に観測され, その傾向は高年齢層でより顕著であった。以上の結果から, くま部位の明度低下は, 血流速度の低下による皮膚毛細血管内の還元ヘモグロビンの増加と, 皮膚メラニン量の増加によるものと考えられた。以上の検討をもとに, くま発生の主要因である「鬱血」および「色素沈着」, くまを目立たせる小じわ, キメの悪化の各々に対処した「血行促進剤」「美白剤」「保湿剤」配合プロトタイプ製剤を処方し, 3週間の連用効果試験を実施した。その結果, 美容技術者による目視評価, 被験者のアンケートにおいてプロトタイプ製剤の, 高いくま改善効果が確認された。また, 機器測定によってもヘモグロビン酸素飽和度の上昇とメラニン量の低下が確認され, 「くま」の改善に本処方は効果的であることが示された。
著者
釘宮 理友 田辺 友希 日比 博久 熊谷 重則
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.41-47, 2010-03-20 (Released:2012-04-26)
参考文献数
5
被引用文献数
1

唇の色はヘモグロビンとメラニン量により影響されることが報告されており,唇は医学的に皮膚由来の構造と口腔粘膜由来の構造を併せ持つことが知られている。とくに,口腔粘膜由来の毛細血管は唇の表面近くに存在して唇を赤く見せている。そして毛細血管の状態は加齢とともに変化し,くすむことが報告されている。しかしながら,これまでに上唇と下唇の赤みの違いについて議論されたことがない。本研究では,上下唇の色について調べることで,年齢によらず下唇のほうが赤みは強いことがわかった。また,上唇と下唇の色の違いがどのような印象を与えるか,唇の色を変化させることにより調べた。その結果,上唇と下唇の色の差が印象に大きな影響を及ぼし,上唇と下唇の色をそろえると,自然で若く健康的な印象を与えられることがわかった。MgTubeを配合した口紅は,上下の唇の色を合わせることができ,また,薄付きの口紅においては干渉パール剤を併用することが効果的であることがわかった。これらの結果により,われわれは新しいメイクアップ法を開発することができた。
著者
飯田 年以 大庭 美保子 松野 文雄 古賀 信義
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.278-286, 2014-12-20 (Released:2016-12-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

手の甲は年齢が隠せない部位であり,手荒れや乾燥などが悩みの上位に挙げられている。これまで手の甲の測定データとしては,保湿クリームで角層水分量の上昇や経皮水分蒸散量が低下して手荒れが改善するといったものが主流で,弾力や色などの知見は少なかった。われわれは,日本を含め3カ国の30~50代女性633名を対象にアンケート調査し,顔以外では手の甲に悩みを持つ人が多いことを見出した。そこでその状態を調べるため,日本人と日本在住の欧米白人の30~50代女性73名の手の甲について,角層水分量などのほか,弾力や色を測定した。その結果,弾力は日本人が欧米白人よりも高い傾向にあるが,いずれも加齢に伴い低下していた。それ以外の角層水分量などは,加齢との関連はみられなかった。一方,弾力の低下とともにb*値(黄み)が減少する傾向にあるのが日本人で,ヘモグロビン量が増加する傾向が日本人と欧米白人でみられた。さらに,視感により手の甲のきれいな人ときれいではない人を約10名ずつ選び,測定値を比較した結果,手の甲のきれいな人は弾力と明度が高く,赤みが低いことが明らかになった。これら条件が美しく見える手の甲を保つ秘訣となると考えられた。
著者
鈴木 敏幸
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.103-117, 2010-06-20 (Released:2012-06-25)
参考文献数
43
被引用文献数
1 1

乳化技術の基礎について以下の5つの視点から解説を行った。(1)エマルションの型と種類の定義およびエマルション,ナノエマルション,マイクロエマルションの違い。(2)調製法の分類と一般的なエマルション調製法。(3)エマルション崩壊のパターンと乳化安定化理論。(4)エマルションと相図:エマルション,マイクロエマルションの状態および効率の良い乳化と可溶化の理解。(5)微細なエマルションの調製のための最近の乳化技術とその機構のまとめ。
著者
小西 奈津子
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.89-93, 2008-06-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
4

最近, 美容雑誌・女性誌の影響もあってか, 世の女性の毛穴に対する美意識が高まってきているように感じる。実際に, 外来でも毛穴をなんとか改善したいという患者が少しずつだが増えてきている。このような毛穴の開きを主訴に来院される患者に対し, 女性外来ではまずは正しいスキンケアの指導を行っている。間違ったスキンケアを行っている患者は多く, 特に10代の患者はその傾向が強い。正しいスキンケアを指導するのみでかなり改善するケースも珍しくない。そして必要に応じてレーザーや光治療などといった治療を行っている。レーザーと一言でいっても様々なものが存在するが, 当院で扱っているのは波長1450nmのダイオードレーザー (Smoothbeam) である。SmoothbeamのFDAでの適応疾患には, 尋常性〓瘡, 〓瘡瘢痕, シワがあるが, 毛穴治療にも有効である。また光治療としてはLumenis oneを導入している。Lumenis oneは波長域が500-1200nmと広く, 色素性病変 (肝斑を除く), シワ, たるみ, 赤ら顔, 開大毛孔などといった光老化の皮膚諸症状に有効である。今回はこれら治療機器を用いた女性外来での毛穴治療法について紹介する。
著者
芳賀 理佳 鈴木 幸一 松川 浩 田中 結子 一ノ瀬 昇 竹中 玄 藤田 早苗
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.285-291, 2010

香水やオーデコロンなどの香り製品は,身だしなみや香りを楽しむために使用するほか,異性から魅力的に思われたいといった理由からも使用されていると思われる。われわれは,「男性の魅力を香りで向上させることができるのか」を研究目的に,男性の印象を形成する一つの要素である声に着目し,男性の声の印象度試験を行った。試験には声に関するパラメーターを単純化するため,男性1人の声から機械的に基本周波数のみを変化させた高さの異なる6種の声を用いて女性被験者に評価させた。まず,香りを漂わせない状態で印象度試験を行ったところ,男性の声の高さの違いにより女性が感じる声の好みや印象が異なることがわかった。次に,試験に用いる香料を調整した。文献や伝承をもとに心理的な作用があるとされている香料成分34種から,専門パネルが官能評価により男性のポジティブなイメージに合致する香料成分を6種類選定した。その中で高揚感・魅力的なイメージが大きいL─ムスコンに着目して男性の声の印象度試験を行ったところ,L─ムスコンの提示の有無で男性の声の印象が変化した。そこでさらに,6種類の香料成分の中からL─ムスコンを含む1種以上の香料成分を含有する男性向けボディケア製品の香りを3種類創作した。この3種類の香りの中から男女ともに嗜好性が高く,香りのイメージが湧きやすいフローラル・スウィート調とシトラス・ムスク調の香りを試験用香料と選定した。選定した香料を用いて男性の声の印象度試験を行った結果,低い声 (基本周波数が120Hzより低い声) に対してはフローラル・スウィート調の香りに,高い声 (基本周波数が120Hzより高い声) に対してはシトラス・ムスク調の香りに,男性の声の爽やかさを向上させる効果が観測された。さらに,試験後の女性被験者の気分状態は,香りを漂わせなかった場合と比較して香りを漂わせた場合に,イライラする感じ,ほっとする感じ,イキイキする感じ,わくわくする感じが有意に改善された。
著者
大江 昌彦 白髭 由恵 窪田 泰夫 乾 まどか 村上 有美 松中 浩 森岡 恒男
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.127-132, 2010-06-20 (Released:2012-06-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

近年のにきび用化粧品は,毛包漏斗部を閉塞するような成分を除きpHを弱酸性にするなど,処方面での工夫がなされており,にきび患者が使用試験して問題となることは少ない。反面,化粧品の使い方(スキンケア)については,人によって方法が異なるのが現状である。そこで,〓瘡患者を対象として,化粧品の使用実態調査を行った結果,〓瘡患者は健常者に比べ,洗顔回数や洗顔料の使用量が多いことなどが明らかとなり,〓瘡の予防や改善のためには,化粧指導とスキンケアが重要であることがわかった。今回われわれは,女性〓瘡患者31名を対象として,皮膚科専門医による化粧指導とともにスキンケア製品を2カ月間使用し,皮膚生理機能および患者のQOLを調べた。その結果,皮膚の生理機能や患者のQOLの改善が確認され,皮膚科医によるスキンケア指導は,〓瘡患者の治療補助として役立つことが確認できた。
著者
岡本 亨
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.187-193, 2016-09-20 (Released:2017-03-21)
参考文献数
12

角層の乾燥は肌荒れを引き起こす。角層保湿はスキンケア化粧品にとって重要な機能である。角層保湿においては,角層に水を保持することと,皮膚からの水の揮散を防ぐことが重要である。スキンケア基剤の物理化学的な性質はこれらと密接に関係しており,適切な基剤設計を行うことで保湿作用を高めることができる。保湿剤は角層保湿において重要な役割をもっている。保湿剤は角層に貯留されることで保湿機能が高まることから,角層への浸透性を高めるためには,保湿剤の角層への分配を高める成分を水相に配合する手法が有効である。また,αゲル基剤は少量の適用でも優れた角層保湿効果を示す優れた基剤である。炭化水素油分のような疎水的な成分で肌を閉塞すると,皮膚からの水分蒸散が妨げられて肌表面に水分を保持することができる。閉塞効果は分子量の高い油分で高まるが,基剤を肌上に均一に展開することが重要である。さらに,保湿剤の浸透と水分のオクルージョン効果を両立した基剤としてαゲル基剤の超微細エマルションについて紹介する。これらのコンベンショナルな手法に加えて,角層細胞間脂質の修復に関する新たな知見について議論する。
著者
星屋 博子 山本 泰之 藤井 政志
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.193-201, 1991-03-30 (Released:2010-08-06)
被引用文献数
1

The structure of eye and lashes is individual variations. Our evaluation and taste for mascara are greatly affected by that structure. It's necessary to make the system of conformity with individual eye and lashes, for the good choice of mascara.First of all, we checked up the structure of eye and lashes, such as the number, length and direction of eyelashes, the width of eye and so on. Next, we investigated the influence in sensory evaluation and taste for mascara caused by difference of structure. Lastly, we tried to correspond to different types of mascara.The result was that there are individual variations in the length and number of eyelashes rather than eye, no difference between men and women.Three major items as follows were important factors of the finishing and taste of mascara. They were “the length of eyelashes”, “the amount of eyelashes” and “the width of eye”, We could classify persons into seven groups according to these three items, who evaluated four types of mascara.In the usage test, we could select the best of four types of mascara for seven groups with different style in their eye and lashes.
著者
熊谷 広子 渡辺 弘子 神津 登志枝 野口 ひろみ 高橋 元次
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.9-21, 1989-06-25 (Released:2010-08-06)
参考文献数
6
被引用文献数
8 11

Using noninvasive measurement techniques, parameters representing skin characteristics were measured in a total of 117 Japanese females ranging in age from 3 to 65 years. The parameters measured were sebum secretion rate, transepidermal water loss, skin surface conductance, skin color, skin surface temperature, corneocyte surface area, and skin surface microtopography. Measurements were taken twice for each subject, once in the summer (July) and again in the winter (December). Polynomial regression analysis was used to quantitatively assess age-related trends associated with changes in shin parameters. Also, to evaluate the progression of the aging phenomena in adults (i.e., physiological aging), multiple regression analysis was carried out with age as the criterion variable and the above parameters as predictor variables.The results of these analyses established the following facts: Most physiological skin parameters undergo changes that can be characterized by curves which attain peak values during the third decade of life, whereas morphological parameters tend to vary linearly with age. Until the third dacade of life, the physiological functions of female skin remain in the developmental phase and are extremely prone to fluctuations. However, during the third decade, the physiological development of the skin reaches a stage of completion and becomes comparatively stable, and thereafter commences a gradual transition to senescence concomitant with chronological aging. The degree of skin aging can be estimated by a quantiative assessment of age-related physiological phenomena and a comprehensive analysis of the relevant data.
著者
久留戸 真奈美 中村 千春 塩原 みゆき
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.298-303, 2010

昨今,若い女性たちの腕や脚に乾燥した状態が目立っているが,これはムダ毛の手入れと非常に関係が深い。本研究では,一般女性19名の腕,脚,腋の肌の状態を調査するとともに,電動脱毛器3機種とカミソリによる手入れを比較して,ムダ毛の手入れと肌への影響を調査した。この結果,手入れの前後で,TEWLが増し,安全カミソリのみならず,むしろ,肌を傷めずに脱毛できると訴求される電動脱毛器においても,肌に赤みや炎症を起こし肌荒れの原因になる可能性が示された。