著者
舛田 勇二 國澤 直美 高橋 元次
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.201-208, 2005-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
10
被引用文献数
3 3

肌の透明感は美しい肌の大きな要因の一つである。しかし, 現時点では実用的な評価法は美容技術者による視覚評価しかなく, また, どのような皮膚生理特性がいかなる作用で透明感を変化させるかについては明らかになっていない。本研究の目的は, 光学的手法を用いて肌の透明感を客観的に評価する方法を確立することと, 透明感に与える皮膚生理特性の作用機序を明らかにし肌の透明感向上に高い効果のある商品を開発することである。ゴニオメーターの入射光部と受光部に偏光フィルターを組み込むことで反射光を拡散反射成分と鏡面反射成分に分離して計測可能な光学測定機器 (変角偏光反射率測定装置; 偏光ゴニオメーター) を開発した。偏光ゴニオメーターにより計測される鏡面反射光および拡散反射光と透明感との関係を解析した結果, 透明感と拡散反射光の強さには高い正の相関 (r=0.699) があることが判明した。一方, 鏡面反射光とはほとんど相関 (r=0.190) がなかった。透明感と皮膚生理特性間でのPLS解析 (Partial Least Square Analyses) の結果から, 透明感の高い肌はキメが細かく整っており, 角層水分量が多く, メラニン量, ヘモグロビン量が少ないことがわかった。透明感のある肌の皮膚生理要因に対応させて「美白剤」「血行促進剤」「高保湿剤」を配合した美容液を作製し, 一般女性パネルを対象に8週間の連用効果試験を実施した。連用後において偏光ゴニオメーターによる拡散反射光は統計的有意差をもって増加し, 被験者の自己評価においても透明感の向上が認められた。
著者
井下 美緒
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.169-176, 2014-09-20 (Released:2016-09-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

近年,紫外線から肌を守りたいという意識の高まりを背景に,海・山などのレジャー用に限らず,日常的に紫外線防御化粧品が使用されるようになり,求められる機能が多様化している。紫外線防御効果だけではなく,「塗布時の透明性」,「保湿性」,「やさしいつけ心地」など,肌に負担の少ない使用感が望まれている。本稿ではこのような紫外線防御効果とともに使用感や保湿性を重視した紫外線防御素材とその製剤化技術について紹介する。
著者
河野 善行
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.253-261, 2002
被引用文献数
1

保湿は肌荒れに対して大変有効な手段であり, また化粧品の最も基本的かつ重要な機能と考えられる。そして多くの種類のエモリエント剤や保湿剤が皮膚の水分保持や乾燥を防御することを目的として用いられてきた。角質層においては, 自然保湿成分 (NMF), 皮脂および細胞間脂質の重要性が証明されてきた。皮膚科学的なアプローチの観点からわれわれは皮膚保湿のメカニズムのアナロジーを皮膚上で再構築してきた。具体的には肌荒れに対して, 水, 保湿剤および脂質を等価に皮膚に補う"モイスチャーバランス"の有用性を証明してきた。これらとは別に化粧品の開発に薬理学的なアプローチの観点も重要であり, 新規な化粧品有効成分の開発に大変役に立つ方法論である。近年われわれは, 肌荒れにおいて表皮プロテアーゼが重要な役割を果たすこと, またその活性を阻害することが修復を促すことを明らかにしてきた。そして表皮プロテアーゼであるプラスミンの阻害活性を有し, 肌荒れに効果を有する<i>t</i>-AMCHAを開発した。本総説では, 皮膚の保湿のメカニズムと, 皮膚科学的にまた薬理学的に開発されたスキンケア化粧品についてレビューする。
著者
島田 邦男 土田 衛 大西 日出男 中野 博子 大東 俊一
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.202-208, 2013-09-20 (Released:2015-09-18)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

頭皮マッサージのストレスや快適感に及ぼす影響を生理学的指標,心理学的指標を用いて検討した。その結果,頭皮マッサージにより,唾液中のコルチゾール濃度は有意に低下し,分泌性免疫グロブリンA濃度は有意に上昇した。Visual Analogue Scale(VAS)を用いた検討では頭皮マッサージの前後で身体的疲労の軽減,リラックス度の上昇が認められ,POMS短縮版ではネガティブな感情を示す指標の低下が認められた。ストレスに関連した唾液成分濃度の測定およびVASやPOMS短縮版の結果から,頭皮マッサージにはストレスを軽減させる作用や快適性を向上させる作用があることが示唆された。
著者
野村 浩一 高須 賀豊 西村 博睦 本好 捷宏 山中 昭司
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.254-266, 1999
被引用文献数
2

メークアップ膜の化粧くずれは多忙な現代女性の大きな悩みの一つであるが, この問題に着目した研究例は少ない。化粧くずれにはいくつかのプロセスが考えられているが, われわれが世界に向けて行ったアンケートでは「テカリの発生」がその重要なシグナルであるという結果が得られた。本研究の目的はその光学特性変化の原因を追究し, この現象の新しい解決策を提案することであった。化粧くずれの主な原因が皮脂の分泌であることはよく知られている。われわれが今回ヒト皮脂の各成分についてその化粧くずれに対する影響を調べたところ, 皮脂中の不飽和遊離脂肪酸が主な原因である可能性が示唆された。遊離脂肪酸の存在は皮脂の融点の降下などを招き, 結果的に化粧膜中の粉体と濡れやすくなることによって化粧くずれを助長した。これらの結果はわれわれに, 化粧くずれを防ぐ新しい方法が遊離脂肪酸の選択的吸着であることを示した。その目的を達成するために, シリケート層を物理化学的に修飾した粘土鉱物が化粧品素材として検討された。検討した粘土鉱物は酸化亜鉛担持アルミナピラードクレー (以下ZA-pilc) である。ZA-pilcを配合したパウダーファンデーションは<i>in virto</i>および<i>in vivo</i>試験において化粧膜の光学特性の劣化が少なく, 結果として化粧膜のいわゆる「もち」を改善した。このような化粧くずれ防止の機能に加え, ZA-pilcはその遊離脂肪酸への吸着特性ゆえたとえばニキビ防止といった別の機能も考えられ, 事実, 今回行ったウサギを用いた実験でもその可能性が示唆される結果となった。
著者
本間 茂継
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.2-10, 2014-03-20 (Released:2016-03-22)
参考文献数
12
被引用文献数
2 1

天候・季節による強弱の差はあれ,屋外活動のなかで人は常に紫外線を浴びている。紫外線から身を守るために紫外線防御機能を有した化粧品が使用されるが,化粧品開発においてその機能を付与するために,無機酸化物粉末 (微粒子酸化チタン,微粒子酸化亜鉛など) である紫外線散乱剤と,有機化合物である紫外線吸収剤が用いられる。本稿では,一般的に用いられる紫外線散乱剤と紫外線吸収剤の特徴を紹介するとともに,高機能性を有した新規水分散型微粒子酸化チタンについて報告する。
著者
久留戸 真奈美 河野 弘美 塩原 みゆき 池田 祐子 竹内 直人 林 洋雄
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.329-333, 2011-12-20 (Released:2013-12-20)
参考文献数
1
被引用文献数
1

化粧用コットンは,主に化粧水のパッティングやメイク落としなどに使われている。昨今は,さまざまな化粧用コットンがみられ,その使用方法もパッティングのみならず,パックにも広がり,スキンケアにおける重要なアイテムとなっている。本実験では,化粧用コットンによるパッティングのスキンケア効果を一般女性30名で調査した。「パッティング」により,肌の水分保持能を高める効果が認められ,被験者自身による有意なスキンケア効果実感が確認された。
著者
舛田 勇二 高橋 元次 佐藤 敦子 矢内 基弘 山下 豊信 飯倉 登美雄 落合 信彦 小川 克基 佐山 和彦
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.202-210, 2004-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
3
被引用文献数
4 4

美容上問題となる「目の下のくま」の発生要因として, 一般的に血流の停滞が言われているが, 実際にくまと血流の関係について調査した報告は少なく, また, くまについて皮膚生理学的に論じた報告もほとんどない。そこで本研究では, 非侵襲的な方法を用いくまを皮膚科学的に解析し, その要因を明らかにするとともに, その対応を考え, 「目の下のくま」改善効果の高い商品の開発を行った。くまの発生要因を明らかにするために, くまのある女性とない女性を対象に, 眼下部の皮膚メラニン量, ヘモグロビン量およびヘモグロビン酸素飽和度, 血流速度の計測を実施した。くまのある女性の眼下部では, ヘモグロビン量の増加およびヘモグロビン酸素飽和度の減少が観察された。くま部位では頬と比較して血流速度の低下が見られたことから, 上記結果は血流の停滞により引き起こされたと考えられる。またメラニン量の増加も同時に観測され, その傾向は高年齢層でより顕著であった。以上の結果から, くま部位の明度低下は, 血流速度の低下による皮膚毛細血管内の還元ヘモグロビンの増加と, 皮膚メラニン量の増加によるものと考えられた。以上の検討をもとに, くま発生の主要因である「鬱血」および「色素沈着」, くまを目立たせる小じわ, キメの悪化の各々に対処した「血行促進剤」「美白剤」「保湿剤」配合プロトタイプ製剤を処方し, 3週間の連用効果試験を実施した。その結果, 美容技術者による目視評価, 被験者のアンケートにおいてプロトタイプ製剤の, 高いくま改善効果が確認された。また, 機器測定によってもヘモグロビン酸素飽和度の上昇とメラニン量の低下が確認され, 「くま」の改善に本処方は効果的であることが示された。
著者
山本 宏 下里 功 岡田 正紀
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.26-32, 1998-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
5
被引用文献数
1

我々は, 官能評価, 毛髪表在脂肪酸分析, 頭のヘッドスペース分析結果より, 通常生活者の頭のニオイ原因物質は, 皮膚常在菌が産生する脂質分解酵素リパーゼにより皮脂中のトリグリセライドが分解されて生じる主に低級から高級にいたる脂肪酸類であると考える。我々は, 微生物及び試薬リパーゼによるトリグリセライド分解による脂肪酸生成モデルを開発, このモデルを評価法として用い, 種々の香料について, 脂肪酸生成に与える影響を調べた。その結果, 脂肪酸生成を抑制する数多くの香料を見いだし, それらの香料を賦香したシャンプー及びリンスの実際使用における頭のニオイ抑制効果を確認した。また, 微生物やリパーゼの作用により, いくつかの香料が脂肪酸と反応してエステルを生成することを見いだした。
著者
中村 直生 高須 賀豊 高塚 勇
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.119-126, 1987-09-30 (Released:2010-08-06)

To develop a novel makeup which is effective in making wrinkles less visible, optical properties of the makeup compornents and their mixtures were systematically studied.It was discovered that within a specific composition range, it was possible to produce a makeup more effective in making wrinkles much less visible than possible with other mixtures. The composition of this “SOFT FOCUS MIXTURE” was found to be strongly dependent on the optical properties as well as the ratio of the powder to the oil. Two major factors found to contribute to the reduction of wrinkle visibility are: (a) Optical blurring of the outlines of wrinkles, and (b) Reduction in the differerence of lightnesses due to diffuse reflection. The first is strongly dependent on the concentration of the oil phase while the second is affected by the gloss of the powder. By optimizing these two factors, effective makeup have been prepared to make wrinkles less apparent.
著者
久留戸 真奈美 中村 千春 塩原 みゆき
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.298-303, 2010-12-20 (Released:2012-12-20)
参考文献数
3

昨今,若い女性たちの腕や脚に乾燥した状態が目立っているが,これはムダ毛の手入れと非常に関係が深い。本研究では,一般女性19名の腕,脚,腋の肌の状態を調査するとともに,電動脱毛器3機種とカミソリによる手入れを比較して,ムダ毛の手入れと肌への影響を調査した。この結果,手入れの前後で,TEWLが増し,安全カミソリのみならず,むしろ,肌を傷めずに脱毛できると訴求される電動脱毛器においても,肌に赤みや炎症を起こし肌荒れの原因になる可能性が示された。
著者
釘宮 理友 田辺 友希 日比 博久 熊谷 重則
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.41-47, 2010-03-20 (Released:2012-04-26)
参考文献数
5

唇の色はヘモグロビンとメラニン量により影響されることが報告されており,唇は医学的に皮膚由来の構造と口腔粘膜由来の構造を併せ持つことが知られている。とくに,口腔粘膜由来の毛細血管は唇の表面近くに存在して唇を赤く見せている。そして毛細血管の状態は加齢とともに変化し,くすむことが報告されている。しかしながら,これまでに上唇と下唇の赤みの違いについて議論されたことがない。本研究では,上下唇の色について調べることで,年齢によらず下唇のほうが赤みは強いことがわかった。また,上唇と下唇の色の違いがどのような印象を与えるか,唇の色を変化させることにより調べた。その結果,上唇と下唇の色の差が印象に大きな影響を及ぼし,上唇と下唇の色をそろえると,自然で若く健康的な印象を与えられることがわかった。MgTubeを配合した口紅は,上下の唇の色を合わせることができ,また,薄付きの口紅においては干渉パール剤を併用することが効果的であることがわかった。これらの結果により,われわれは新しいメイクアップ法を開発することができた。
著者
光井 武夫
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.75-90, 1990-12-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
14
被引用文献数
1

Present-day's cosmetic industry is making rapid technological advancements while the country goes through various changes such as increase in the average span of human life, introduction of high technology, and expansion of information networks and globalization.Many of the recent high-performance cosmetic products take advantage of recent technical advancements in such fields as biotechnology, new materials and formulating technology.Extensive researches are being made for development of tools and instruments for promotional uses at the cosmetic counter.These researches are closely related to the life science including dermatological science.In this presentation, the current status of cosmetic industry will be reviewed together with recent trend in cosmetic technology and themes for the 21st century will also be discussed.
著者
奥 昌子 西村 博 兼久 秀典
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.204-209, 1987-12-10 (Released:2010-08-06)
参考文献数
9
被引用文献数
2

Previous report showed that proteins and amino acids were dissolved from bleached hair. This study was carried out to determine the affects of permanent-waving agent on the dissolution of proteins from hair, breaking point and waving effect.Dissolution of proteins into permanent-waving agent was measured as previously reported. Breaking points of hair treated by permanent-waving agent were evaluated by the tensile tester after treatment by oxidizing agent for 15 minutes. The waving effect was measured by the method of kirby.The higher pH of the permanent-waving agent, the more dissolved proteins from hair. Breaking points of hair were decreased at higher pH. The waving effect increased as the rise of pH, but it decreased at pH 10. On the contrary, the amount of dissolved proteins from hairs and the breaking point were slightly influenced by the treatment time.It is noteworthy that the amounnt of dissolved proteins and breaking point gave a good correlation. From these results, the analysis of dissolved proteins from hair to evaluate hair damage was suggested to be important. Permanent-waving agent gave damage to hair greately, and it was confirmed that much proteins dissolved in the short time. Most of dissolved one was seemed to be peptides or proteins but not to be free amino acids.
著者
大江 昌彦 白髭 由恵 窪田 泰夫 乾 まどか 村上 有美 松中 浩 森岡 恒男
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.127-132, 2010-06-20 (Released:2012-06-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

近年のにきび用化粧品は,毛包漏斗部を閉塞するような成分を除きpHを弱酸性にするなど,処方面での工夫がなされており,にきび患者が使用試験して問題となることは少ない。反面,化粧品の使い方(スキンケア)については,人によって方法が異なるのが現状である。そこで,〓瘡患者を対象として,化粧品の使用実態調査を行った結果,〓瘡患者は健常者に比べ,洗顔回数や洗顔料の使用量が多いことなどが明らかとなり,〓瘡の予防や改善のためには,化粧指導とスキンケアが重要であることがわかった。今回われわれは,女性〓瘡患者31名を対象として,皮膚科専門医による化粧指導とともにスキンケア製品を2カ月間使用し,皮膚生理機能および患者のQOLを調べた。その結果,皮膚の生理機能や患者のQOLの改善が確認され,皮膚科医によるスキンケア指導は,〓瘡患者の治療補助として役立つことが確認できた。
著者
北村 謙始 山田 久美子 伊藤 明 福田 實
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.133-145, 1995-09-10 (Released:2010-08-06)
参考文献数
19
被引用文献数
11 14

With the purpose of clarifying the role of internal factors in the process of dry skin occurs, dry skin was induced experimentally by an ionic surfactant and, using the model system, we investiglated from a pharmacological perspective as a new experimental plan. Through this research, we have conceived a new theory explaining how dry skin occurs. Furthermore, on the beais of this theory, we have developed a new effective compound for its treatment.In order to study on the mechanism by which dry skin occurs, we used anti-inflammatory agents and inhibitors against histological impairment mediators, as well as various substances that were considered to regulate the function of epidermal cells. The results strongly suggested that the occurence of dry skin involves a cause bringing about the over-manifestation of the epidermal plasminogen (PLG) activation system, which in turn causes abnormalities in the regulating mechanisms for the proliferation and differentiation of epidermal cells, and these result in dry skin.We discovered 4-aminomethylcyclohexanecarboxylic acid (t-AMCHA), which was the most effective substance in view of the theory on the occurrence of dry skin. Then we investigated in detail the efficacy of t-AMCHA. The results of our studies confirmed that t-AMCHA strongly suppresses the over-manifestatation of the PLG activation system in the epidermis when dry skin was occurring. In addition, t-AMCHA demonstrated superb effectiveness against phenomena caused by dry skin, including the loss of moisture from the horny layer, the increase in transepidermal water loss (TEWL), accelerated turnover in the horny layer, and the changes in various other indicators such as epidermal hypertrophy.We also performed a double-blind trial on a preparation containing t-AMCHA. Results demonstrated that the preparation containing t-AMCHA definitely made better and faster improvement than the preparation without t-AMCHA in skin surface texture. Furthermore, the t-AMCHA containing preparation showed superior stability and safety and had excellent usability.We demonstrated for the first time that the intraepidermal PLG activation system plays a major role in the process by which dry skin occurs, and founded a new theory on the occurrence of dry skin. In addition, on the basis of this theory, we discovered the effective substance t-AMCHA and conducted research on its practical application. As a result, we have not only verified the theory but also developed a revolutionary new effective substance for cosmetics.
著者
上月 裕一
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.254-259, 2009-12-20 (Released:2011-12-21)
参考文献数
7

分子軌道およびニューラルネットワークを用いて,化粧品素材のリスクアセスメントを可能とするための,in silico 安全性予測システムの開発を試みた。皮膚刺激性のデータベースとして,文献およびわれわれの研究機関の実験結果から,161検体のhuman patch testの結果を採集した。皮膚刺激性を予測するための記述子としてmolecular weight,polarizabilityα,polarizabilityγ,dipole moment,ionization potentialを計算し,さらに,配合濃度,塗布時間を加えた。解析にはニューラルネットワークを用いた。その結果,human patch testの陽性率に関して,leave-one-out cross-validationによる結果で,妥当な精度が得られた(root mean square error 0.352)。したがって,分子軌道法およびニューラルネットワークを組み合わせて,化粧品素材の毒性ポテンシャルの予測のみならず,リスクアセスメントも可能な,in silico 安全性予測システムの構築の可能性が示唆された。
著者
池本 毅 岡部 文市 山本 直史 中津川 弘子
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.229-237, 1999

香料による体臭のマスキング効果の持続性を高める方法として, 花香気成分の前駆体として知られる香気成分配糖体の応用について検討を行った。まず<i>in vitro</i>試験として香気成分配糖体を含む培地にてさまざまな種類の皮膚細菌を培養し, 生成した香気成分量と残存する配糖体量をGCおよびHPLC分析にて検討を行った。そして, 多くの皮膚細菌類が香気成分配糖体を代謝し香気成分を生成することを確認した。また, その生成量は菌種や配糖体の構造により代謝速度が大きく異なることも確認した。次に, 香気成分配糖体を身体に塗布したときの効果を確認する目的で, ヘッドスペースガス法を用いた<i>in situ</i>試験を行った。その結果, 香気成分配糖体を身体に塗布した場合にも香気成分が持続的に生成すること, その生成量は配糖体の構造や塗布部位において大きく異なることを確認した。さらに, eugenolを香気成分部とするeugenyl β-D-glucosideには持続性に優れたデオドラント作用のあることも官能試験により確認された。
著者
宮沢 和之 金田 勇 飯塚 直美 梁木 利男 植村 雅明
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.301-308, 2003
被引用文献数
1

毛髪にハリコシを付与する方法として毛髪自体の育成を助ける生物学的アプローチと, 外部からある基剤を塗布して補強する物理的アプローチが考えられる。前者は軟毛の悩みを根本的に解決できる可能性があるが, 効果が得られるまでに長期間を要する, 効果に個人差がある, などの課題がある。一方, 後者は即効性はあるものの通常洗髪などにより効果が失われるなど, 持続性に乏しいため毎日の適用が必要となる。そこで即効性に優れ, しかもその効果が長期的に持続するハリコシ向上トリートメントの開発を目的として検討を行った。本基剤に求められる基本的条件として, 1. 優れた耐水性, 2. 1本1本の毛髪を独立してコートできること, の2点が挙げられる。そこで耐水性の付与を目的としてアルコキシシランの縮合反応によるネットワーク形成を利用し, 極性をコントロールすることで毛髪への付着性を向上させ, 1本ずつの毛髪を均一な皮膜でコーティング可能な基剤とした。さらに毛髪上に形成される皮膜の強度, 平滑性を検討し, 優れたハリコシ付与効果と良好な使用性を併せ持つへアトリートメントとすることに成功した。
著者
村越 紀之
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.87-94, 2015-06-20 (Released:2017-03-21)
参考文献数
14

健常な毛髪の表面は,18-MEAで構成された脂質層が存在するため撥水性が高く,ツヤがあって滑らかな風合いをもたらす。しかし,物理的なダメージや化学的なダメージを受けると脂質層が剥がれ親水性のタンパク質の層が露出するため,ツヤがなくなり,毛髪が絡まりやすく,パサつきなどを感じるようになる。また,毛髪の構造がダメージを受けると,毛髪内在の成分が漏出しやすくなり,毛髪が細径化してハリコシが低下するようになる。つまり,毛髪のダメージは表面の疎水性が親水性へと変化することで生じると考えられる。そこで,毛髪の親水化がどのような場合に生じるのかを,イオン性の蛍光試薬を処理してタンパク質の露出部位や浸透のしやすさで確認したので,その結果を紹介する。