著者
西島 貴史
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.3-9, 2009-03-20 (Released:2011-12-06)
参考文献数
12
被引用文献数
2

毛穴目立ちは多くの女性のもつ悩みの一つであるが,その目立つ原因は明らかになっていない。われわれは生体用レーザー顕微鏡を使用して頬の表皮構造を詳細に観察し,毛孔周囲が凹んでいる毛孔では特徴的な表皮の構造をもつことを明らかにした。この表皮構造は表皮が非常に深くまで落ち込んでおり,非常に長く伸長した真皮乳頭をもつことを特徴としていた。この表皮構造は表面の凹みと面積・形状が同じであることから,頬において毛穴が目立つ一因であると考えられた。そこで,表皮の収縮に着目して表皮構造を改善する剤の探索を行い,表皮細胞の収縮促進と増殖抑制の効果をもつ1-イソステアリルグリセロール-3-リン酸を見出した。ヒトでの使用試験の結果,1-イソステアリルグリセロール-3-リン酸は表皮構造に変化を起こさせ,目立つ毛穴に対する改善効果をもつことを確認した。今回,これら表皮に着目した毛穴目立ち改善へのアプローチについて報告する。
著者
久留戸 真奈美 河野 弘美 塩原 みゆき 池田 祐子 竹内 直人 林 洋雄
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.329-333, 2011-12-20 (Released:2013-12-20)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

化粧用コットンは,主に化粧水のパッティングやメイク落としなどに使われている。昨今は,さまざまな化粧用コットンがみられ,その使用方法もパッティングのみならず,パックにも広がり,スキンケアにおける重要なアイテムとなっている。本実験では,化粧用コットンによるパッティングのスキンケア効果を一般女性30名で調査した。「パッティング」により,肌の水分保持能を高める効果が認められ,被験者自身による有意なスキンケア効果実感が確認された。
著者
小柳 綾子 松井 康子 戸叶 隆雄 吉岡 正人
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.122-127, 2011-06-20 (Released:2013-06-20)
参考文献数
6

アミノ変性シリコーンはコンディショニング効果に優れたシリコーン誘導体の一つであり,ヘアケア製品に広く使用されている。しかし,連用するとアミノ変性シリコーンが毛髪表面に蓄積 (ビルドアップ) することで感触が損なわれることが問題であった。今回われわれは,「 (加水分解シルク/PG-プロピルメチルシランジオール) クロスポリマー」 (Hydrolyzed Silk PG-Propyl Methylsilanediol Crosspolymer;以下,HPS)をアミノ変性シリコーン含有コンディショナーに配合することでアミノ変性シリコーンのビルドアップが抑制されるかどうかを確認した。エネルギー分散型X線分析装置 (EDS)による毛髪表面のシリコーン量の測定と官能評価の結果から,HPSにはアミノ変性シリコーンのビルドアップを抑制し良好な感触を維持する効果があることがわかった。
著者
川崎 由明 坂本 一民 Maibach Howard I.
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.55-61, 1996
被引用文献数
1

5種類のアミノ酸 (L-リジン塩酸塩, グリシン, L-グルタミン酸モノナトリウム, L-プロリン, L-スレオニン) をアミノ酸のモデルとして選定し, ヒト皮膚に於けるそれらのpH 7.4水溶液からの<i>in vitro</i>経皮吸収挙動をラジオアイソトープを用いて種々検討した結果, ヒト角質層はアミノ酸経皮吸収に対して大きなバリアとなっていることが明らかになった。また, 正常皮膚に於けるアミノ酸経皮吸収流束とアミノ酸のlog P (オクタノール/水) の間に負の相関関係が確認されたことから"マイクロチャンネル"の存在が示唆される。更に, グリセリンやPCAナトリウム等を共存させた場合, L-プロリンの皮膚透過量は殆ど変化せずに, 表皮への吸着量は増大したことから, ヒト表皮はアミノ酸のリザーバーとしての役割を果たしていると考えられる。
著者
岡野 由利
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.91-97, 2016-06-20 (Released:2017-03-21)
参考文献数
28
被引用文献数
1

スキンケア化粧品の基本的な機能は皮膚の保湿である。皮膚の乾燥が肌荒れだけではなく,皮膚の老化の一因となっていることは,われわれは経験的に知っている。角層には水分を保つ機構が存在するが,その詳細が解明され始めたのは,20世紀の半ばになってからであった。市場の化粧品のコンセプトはこの皮膚科学の発展を商品に応用したものが多い。そのため,過去においては,天然保湿因子(NMF)と皮脂を模して,水分と保湿剤,油脂を含有する製剤がスキンケア商品として用いられてきた。皮膚科学の発展に伴い,セラミド,NMFを配合した製品,顆粒層に存在するタイトジャンクションに注目した素材を配合した製品,角層細胞の成熟に注目した製品が開発され,上市されてきた。さらに,過去には死んで剥がれ落ちると考えられていた角層が,スキンケア行為によって濡れてゆっくりと乾くことにより,バリア機能が向上し,皮膚の状態が健全に保たれることも報告された。本稿では,保湿にかかわる皮膚科学の進歩と関連したスキンケアコンセプトの変化について歴史的な変化も含めて述べる。
著者
小林 和法 倉沢 真澄 丹 美香 工藤 大樹 赤塚 秀貴 大場 愛
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.212-217, 2011-09-20 (Released:2013-09-20)
参考文献数
2
被引用文献数
1

肌の「ハリ」は理想の肌の要素のひとつとして挙げられることが多い。従来「ハリ」といえば肌に触れたときの感覚としてとらえられ,真皮にアプローチした改善策がとられてきた。しかしわれわれは,「ハリ」には視覚的要素も含まれていると考え,視覚的なハリという点に着目して検討を行った。健常日本人女性の顔面を対象に行った肌の官能評価スコアを用いてクラスター分析を行ったところ,「目で見て感じるハリ (視覚的ハリ) 」は「視覚的うるおい感」と非常に距離が近く,一方で「触覚的ハリ」とは別のクラスターに分類されることがわかった。また,視覚的ハリは角層水分量や経表皮水分蒸散量と関係することがわかった。この結果から,角層水分状態の改善が視覚的ハリの向上につながるのではないかと考え,化粧料の連用試験を行い,角層水分状態が改善されたときに視覚的ハリスコアがアップするかどうかをみたところ,角層水分量の有意な増加とともに視覚的ハリの有意な向上が確認され,一方で触覚的ハリには有意な変化が認められなかった。これは,視覚的ハリと触覚的ハリには,それぞれに最適な改善アプローチが別々に存在する可能性を示唆している。
著者
井下 美緒
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.169-176, 2014-09-20 (Released:2016-09-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

近年,紫外線から肌を守りたいという意識の高まりを背景に,海・山などのレジャー用に限らず,日常的に紫外線防御化粧品が使用されるようになり,求められる機能が多様化している。紫外線防御効果だけではなく,「塗布時の透明性」,「保湿性」,「やさしいつけ心地」など,肌に負担の少ない使用感が望まれている。本稿ではこのような紫外線防御効果とともに使用感や保湿性を重視した紫外線防御素材とその製剤化技術について紹介する。
著者
舛田 勇二 國澤 直美 高橋 元次
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.201-208, 2005-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
10
被引用文献数
3 7

肌の透明感は美しい肌の大きな要因の一つである。しかし, 現時点では実用的な評価法は美容技術者による視覚評価しかなく, また, どのような皮膚生理特性がいかなる作用で透明感を変化させるかについては明らかになっていない。本研究の目的は, 光学的手法を用いて肌の透明感を客観的に評価する方法を確立することと, 透明感に与える皮膚生理特性の作用機序を明らかにし肌の透明感向上に高い効果のある商品を開発することである。ゴニオメーターの入射光部と受光部に偏光フィルターを組み込むことで反射光を拡散反射成分と鏡面反射成分に分離して計測可能な光学測定機器 (変角偏光反射率測定装置; 偏光ゴニオメーター) を開発した。偏光ゴニオメーターにより計測される鏡面反射光および拡散反射光と透明感との関係を解析した結果, 透明感と拡散反射光の強さには高い正の相関 (r=0.699) があることが判明した。一方, 鏡面反射光とはほとんど相関 (r=0.190) がなかった。透明感と皮膚生理特性間でのPLS解析 (Partial Least Square Analyses) の結果から, 透明感の高い肌はキメが細かく整っており, 角層水分量が多く, メラニン量, ヘモグロビン量が少ないことがわかった。透明感のある肌の皮膚生理要因に対応させて「美白剤」「血行促進剤」「高保湿剤」を配合した美容液を作製し, 一般女性パネルを対象に8週間の連用効果試験を実施した。連用後において偏光ゴニオメーターによる拡散反射光は統計的有意差をもって増加し, 被験者の自己評価においても透明感の向上が認められた。
著者
釘宮 理友 田辺 友希 日比 博久 熊谷 重則
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.41-47, 2010-03-20 (Released:2012-04-26)
参考文献数
5
被引用文献数
1

唇の色はヘモグロビンとメラニン量により影響されることが報告されており,唇は医学的に皮膚由来の構造と口腔粘膜由来の構造を併せ持つことが知られている。とくに,口腔粘膜由来の毛細血管は唇の表面近くに存在して唇を赤く見せている。そして毛細血管の状態は加齢とともに変化し,くすむことが報告されている。しかしながら,これまでに上唇と下唇の赤みの違いについて議論されたことがない。本研究では,上下唇の色について調べることで,年齢によらず下唇のほうが赤みは強いことがわかった。また,上唇と下唇の色の違いがどのような印象を与えるか,唇の色を変化させることにより調べた。その結果,上唇と下唇の色の差が印象に大きな影響を及ぼし,上唇と下唇の色をそろえると,自然で若く健康的な印象を与えられることがわかった。MgTubeを配合した口紅は,上下の唇の色を合わせることができ,また,薄付きの口紅においては干渉パール剤を併用することが効果的であることがわかった。これらの結果により,われわれは新しいメイクアップ法を開発することができた。
著者
飯田 年以 大庭 美保子 松野 文雄 古賀 信義
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.278-286, 2014-12-20 (Released:2016-12-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

手の甲は年齢が隠せない部位であり,手荒れや乾燥などが悩みの上位に挙げられている。これまで手の甲の測定データとしては,保湿クリームで角層水分量の上昇や経皮水分蒸散量が低下して手荒れが改善するといったものが主流で,弾力や色などの知見は少なかった。われわれは,日本を含め3カ国の30~50代女性633名を対象にアンケート調査し,顔以外では手の甲に悩みを持つ人が多いことを見出した。そこでその状態を調べるため,日本人と日本在住の欧米白人の30~50代女性73名の手の甲について,角層水分量などのほか,弾力や色を測定した。その結果,弾力は日本人が欧米白人よりも高い傾向にあるが,いずれも加齢に伴い低下していた。それ以外の角層水分量などは,加齢との関連はみられなかった。一方,弾力の低下とともにb*値(黄み)が減少する傾向にあるのが日本人で,ヘモグロビン量が増加する傾向が日本人と欧米白人でみられた。さらに,視感により手の甲のきれいな人ときれいではない人を約10名ずつ選び,測定値を比較した結果,手の甲のきれいな人は弾力と明度が高く,赤みが低いことが明らかになった。これら条件が美しく見える手の甲を保つ秘訣となると考えられた。
著者
鈴木 敏幸
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.103-117, 2010-06-20 (Released:2012-06-25)
参考文献数
43
被引用文献数
1 1

乳化技術の基礎について以下の5つの視点から解説を行った。(1)エマルションの型と種類の定義およびエマルション,ナノエマルション,マイクロエマルションの違い。(2)調製法の分類と一般的なエマルション調製法。(3)エマルション崩壊のパターンと乳化安定化理論。(4)エマルションと相図:エマルション,マイクロエマルションの状態および効率の良い乳化と可溶化の理解。(5)微細なエマルションの調製のための最近の乳化技術とその機構のまとめ。
著者
岩井 一郎 桑原 智祐 平尾 哲二
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.16-21, 2008
被引用文献数
1

近年, カルボニル化と呼ばれるタンパク質の変性が角層で知られるようになったが, 肌への影響は不明だった。本研究では「角層の透明度」に焦点を当て, 角層タンパク質カルボニル化の影響とその対応法について検討した。まず粘着テープで採取した角層タンパク質のカルボニル基を蛍光標識し, 画像解析により数値化する方法を開発し, 外界の影響を受けやすい露光部 (顔面) 角層, 角層表層部で角層カルボニル化レベルが高いこと, <i>in vitro</i> UV照射により角層タンパク質がカルボニル化することを示した。さらに, 頬部角層カルボニル化レベルの高い女性では, 視感判定による透明感が低いことを示した。これらより, 外界の影響による角層のカルボニル化が透明感低下の一因と考えられた。実際に角層を<i>in vitro</i>でカルボニル化処理すると角層は不透明に白濁した。さらにアミノ酸L-リジンは角層カルボニル化を抑制し, ヒト皮膚においてもカルボニル化による透明感の低下を抑制した。これらより, 外界の悪影響による角層タンパク質のカルボニル化をL-リジンによって防ぐことで, 角層透明度を保ち, 肌の透明感を向上させることができると考えられた。
著者
本間 茂継
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.2-10, 2014-03-20 (Released:2016-03-22)
参考文献数
12
被引用文献数
4 2

天候・季節による強弱の差はあれ,屋外活動のなかで人は常に紫外線を浴びている。紫外線から身を守るために紫外線防御機能を有した化粧品が使用されるが,化粧品開発においてその機能を付与するために,無機酸化物粉末 (微粒子酸化チタン,微粒子酸化亜鉛など) である紫外線散乱剤と,有機化合物である紫外線吸収剤が用いられる。本稿では,一般的に用いられる紫外線散乱剤と紫外線吸収剤の特徴を紹介するとともに,高機能性を有した新規水分散型微粒子酸化チタンについて報告する。
著者
小池 徹 中島 紀子 奥村 英晴 奥村 秀信
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.14-21, 2011-03-20 (Released:2013-03-18)
参考文献数
20

化粧品において「触感」は重要な因子であり,その触感に大きな影響を与える皮膚の柔らかさに関する報告は多い。たとえば角層の柔軟性には,水分が大きな影響を与えていることが広く知られており,その詳細なメカニズムの解明も進んでいる1)。一方,「エモリエント」という言葉が業界に古くからあるように,油剤が皮膚へ柔軟性を与える効果も広く認められている。しかし油剤による柔軟効果に関して,具体的にどのような機構で働いているのかという点を追究した報告が少ない。そこで今回は液状油に注目し,皮膚への柔軟化機構を力学的ならびに官能的に検討した。その結果,塗布された液状油によって細胞間脂質層が柔らかくなり,これが角層に影響を与えていることが示唆された。また官能的に「感じる」柔らかさは必ずしも力学的な柔軟化傾向とは一致しておらず,ほかにも摩擦等の表面特性が関与していることが示唆された。よって,肌を柔らかくする,または感じさせる効果を化粧品で十分発揮するためには,両方の側面からアプローチすることが有効であると考えられた。
著者
屋敷 圭子 大戸 信明 川嶋 善仁 中原 達雄
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.334-339, 2017-12-20 (Released:2017-03-21)
参考文献数
10

近年,紫外線や大気汚染などの環境因子,食生活の変化やストレス等によって敏感肌を訴える人は増加している。われわれは,すでに敏感肌向け化粧品に多く配合されているグリチルリチン酸ジカリウム(DPG)の有効性について検討した。DPGは,神経ペプチドであるサブスタンスPによる神経成長因子の遺伝子発現上昇を抑制したことにより,敏感肌の特徴的状態である知覚過敏反応を抑制できる可能性が示された。また,敏感肌を対象にした臨床試験では,0.2%DPG配合製剤は乳酸によって誘導されるかゆみに対する違和感に対して改善傾向が認められた。これらの結果から,DPGは,種々の敏感肌の人に対して改善作用を有する可能性が示唆された。
著者
長瀬 忍 篠崎 孝夫 土屋 勝 辻村 久 増川 克典 佐藤 直紀 伊藤 隆司 小池 謙造
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.201-208, 2009-09-20 (Released:2011-12-09)
参考文献数
23

毛髪外観は毛髪の形や色,光学物性などの影響を受ける。たとえば,毛髪の形は加齢に伴いうねり(くせ)が強くなることが報告されているが,うねりの増加に起因して毛髪の揃いが乱れ,髪の艶が低下する。そこで本研究では毛髪の形に着目し,毛髪の形と微細構造との関係を明確にすることを目的とし,種々の解析を行い以下の結果を得た。1.蛍光色素のくせ毛内部への浸透挙動は非対称(くせ形状の外側で浸透速度が速く,内側で遅い)であった。この結果は外側・内側における構造/化学組成の違いを示唆する。2.透過型電子顕微鏡観察により,くせの外側では中間径フィラメント(IF)が螺旋状に配列し比較的小さなマクロフィブリルを形成し,くせの内側ではIFは毛髪軸にほぼ平行に配列し比較的大きなマクロフィブリルを形成する傾向が認められた。3.くせ毛を外側と内側に分割しアミノ酸組成を分析した結果,くせの外側にはAsp,Glu,Glyが多く,内側にはCysが多いことが判明した。以上のヒトのくせ毛解析結果は,羊毛のオルト/パラコルテックス細胞の解析結果に似ており,曲がった形の毛髪の構造や組成が哺乳類で共通である可能性を示唆する。
著者
大江 昌彦 白髭 由恵 窪田 泰夫 乾 まどか 村上 有美 松中 浩 森岡 恒男
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.127-132, 2010-06-20 (Released:2012-06-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

近年のにきび用化粧品は,毛包漏斗部を閉塞するような成分を除きpHを弱酸性にするなど,処方面での工夫がなされており,にきび患者が使用試験して問題となることは少ない。反面,化粧品の使い方(スキンケア)については,人によって方法が異なるのが現状である。そこで,〓瘡患者を対象として,化粧品の使用実態調査を行った結果,〓瘡患者は健常者に比べ,洗顔回数や洗顔料の使用量が多いことなどが明らかとなり,〓瘡の予防や改善のためには,化粧指導とスキンケアが重要であることがわかった。今回われわれは,女性〓瘡患者31名を対象として,皮膚科専門医による化粧指導とともにスキンケア製品を2カ月間使用し,皮膚生理機能および患者のQOLを調べた。その結果,皮膚の生理機能や患者のQOLの改善が確認され,皮膚科医によるスキンケア指導は,〓瘡患者の治療補助として役立つことが確認できた。
著者
岡本 亨
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.187-193, 2016-09-20 (Released:2017-03-21)
参考文献数
12

角層の乾燥は肌荒れを引き起こす。角層保湿はスキンケア化粧品にとって重要な機能である。角層保湿においては,角層に水を保持することと,皮膚からの水の揮散を防ぐことが重要である。スキンケア基剤の物理化学的な性質はこれらと密接に関係しており,適切な基剤設計を行うことで保湿作用を高めることができる。保湿剤は角層保湿において重要な役割をもっている。保湿剤は角層に貯留されることで保湿機能が高まることから,角層への浸透性を高めるためには,保湿剤の角層への分配を高める成分を水相に配合する手法が有効である。また,αゲル基剤は少量の適用でも優れた角層保湿効果を示す優れた基剤である。炭化水素油分のような疎水的な成分で肌を閉塞すると,皮膚からの水分蒸散が妨げられて肌表面に水分を保持することができる。閉塞効果は分子量の高い油分で高まるが,基剤を肌上に均一に展開することが重要である。さらに,保湿剤の浸透と水分のオクルージョン効果を両立した基剤としてαゲル基剤の超微細エマルションについて紹介する。これらのコンベンショナルな手法に加えて,角層細胞間脂質の修復に関する新たな知見について議論する。
著者
澤根 美加 大田 正弘 山西 治代 本山 晃 高倉 伸幸 加治屋 健太朗
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.188-196, 2012

皮膚には血管・リンパ管からなる微小循環系がはりめぐらされており,皮膚は全身の臓器と同様に,血管から栄養や酸素を供給され,リンパ管から過剰な水分や老廃物を排出されることで恒常性を維持している。皮膚の恒常性維持に微小循環系は重要と考えられるが,皮膚老化への関わりとその分子メカニズムについては未知な部分が多かった。本研究では,加齢による皮膚老化が循環系機能の低下によって引き起こされ,さらにその循環系機能を血管安定化にかかわる受容体Tie2 (endotheliumspecific receptor tyrosine kinase 2) が制御することを明らかにした。まず,ヒト皮膚組織を用いて循環系変化を解析したところ,加齢で血管およびリンパ管の構造が不安定化し,機能が低下していた。さらに,そのメカニズムはTie2の活性化の低下に起因していた。Tie2は血管と同様,リンパ管機能や成熟化にも寄与しており,Tie2の活性化が血管・リンパ管の安定化に重要であった。そこで,Tie2を活性化する薬剤を網羅的に探索した結果,ケイヒエキスを同定した。
著者
曽我 元 森田 康治 新井 賢二
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.97-103, 2014-06-20 (Released:2016-06-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

日常的に行われる美容行動の一つである地肌マッサージに関して,血行促進を効率的に実現できる方法を考案することにした。そこで,種々のマッサージ基本手技が皮膚血流に与える作用を個別に評価した。その結果,頭皮においては,圧迫法が最も血流上昇作用が高いという特徴を見出した。ほかの基本手技も組み合わせて,約3分間のセルフマッサージ方法を創案した。この方法により地肌をマッサージすると,即時的な血行促進作用が認められ,平均で約120%まで上昇し,20分程度持続することを確認した。また,地肌が動きやすくなり,1週間の連用を行うと動きやすさのスコアに上昇傾向が認められた。この方法は,地肌マッサージの生理学的意義を明らかにする目的で,頭皮の物性や血流量に与える影響と,それに加えて,毛髪の成長に関わる作用を評価するために有用である。