- 著者
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深澤 宏
- 出版者
- The Society of Cosmetic Chemists of Japan
- 雑誌
- 日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.2, pp.76-87, 2006
口紅に求められる品質は, 基本品質と嗜好品質に分けられる。基本品質は「安全性, 安定性 (発汗, 発粉, 折れない, 匂いや色が変わらない等)」が良いことである。嗜好品質は, 「色調」「使用感」「機能」等概ね三つに分類されるが, 優位順位は, 使用する人, 唇の状態, 時間, 場所, 目的に応じて異なるため, 個別検討する必要がある。充填成形時にはさまざまな要因により, 口紅の出来栄え (品質特性) が変化し, 工程管理が行われている。しかし, 「どんな特性をどう評価して, 管理・改善したら良いか」について, 手順が確立しているとはいえない。本研究では「スティックタイプ」の口紅に関して, 充填成形時の管理の手順を「損失関数」の考え方を用いて解説し, 品質特性の改善には「基本機能」の考え方に基づき, 動特性のSN比を用いたパラメータ設計が有効であることを説明する。