著者
酒井 裕二 鈴木 将史 小原 康弘
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.95-103, 2006
被引用文献数
2

エマルション化粧品は, 肌に水分を与える保湿効果と, 肌の水分を逃がさない閉塞効果の二つの基本的機能を有する。これらの効果は, エマルションの親水領域と親油領域の比に影響される。そのため, 両効果は拮抗した関係となり, 同時に高めることは困難であった。そこでわれわれは, ポリグリセリン系界面活性剤, セチルアルコール, ポリグリセロール (13) ポリオキシブチレン (14) ステアリルエーテルおよびD相乳化法を用いることにより, エマルション膜の親油領域に水を多く分散させ, その親水領域を強固にすることで, ポリオキシエチレン系界面活性剤を用いたものより保水効果と閉塞効果が優れたエマルションを開発した。またポリオキシエチレン系界面活性剤を用いたエマルションは, 塗布されるとエマルション粒子が消失するのに対して, 本エマルション膜は, 粒子の残存がレーザー顕微鏡により確認された。さらに1ヵ月間の連用により, 角層細胞のはがれやすさ, 角層細胞の並び方も改善されることが明らかとなった。

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