著者
竹崎 英一 村上 信三 西林 宏之 香川 和徳 大森 仁也 山根 哲実 弘井 正 片山 正一
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.177-182, 1991

肝細胞癌を合併した自己免疫性慢性肝疾患2例を報告する. 1例目は65歳の女性で, ルポイド肝炎から進展した肝硬変と考えられる症例で, 経過中に慢性甲状腺炎を併発し, 同時に, 腫瘍マーカーの上昇と画嫁診断から肝細胞癌合併が診断され, TAE後, 治療切除が行われた. 腫瘍は1.4×1.5cmのEdmondson II-III型の肝細胞癌であった. 本例は輸血歴があり, anti-HCVが陽性であった. 2例目は78歳の男性で, AMA 320倍以上, anti-M2陽性, 高免疫グロブリン血症からPBCと考えられる症例で, 腫瘍マーカーは陰性であったが, 画像診断から肝細胞癌合併が診断された. 高齢であり, 腫瘍占拠部位が広範囲であるため, 保存的治療が行われたが, 肝細胞癌診断約3ヵ月後に, 肝不全が出現し死亡した. 死亡解剖所見では, Scheuer IVのPBCであり, 腫瘍は肝両葉に散在し, 最大径は3×4cmで, Edmondson II-III型の肝細胞癌であった. 本例は輸血歴がなく, anti-HCVは陰性であった.

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