著者
駒田 美弘
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC HEMATOLOGY/ONCOLOGY
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.77-89, 1994

白血病細胞を含む癌細胞が不死の細胞であることを示す明確な証拠は得られていない.ある種のサイトカインは, 白血病細胞の増殖を誘導し, さらにautocrineあるいはparacrineの機構に深くかかわっている.興味深いことに, 患児由来の白血病細胞を体外の培養液中に移すと, 短時間のうちに, クロマチン凝集, 核の断片化などの特徴的な細胞形態の変化や, DNAの断片化が認められるようになり, アポトーシス細胞死が誘導される.このことは白血病細胞が自殺死の機構を有しており, その活性化が可能であることを意味する.また, 白血病細胞は生存していくための因子 (生存因子) を必要とし, その因子の欠乏によりアポトーシス細胞死が誘導される.さらに, <I>c</I>-<I>myc</I>, <I>bcl</I>-2, 癌抑制遺伝子p53などの遺伝子の発現の異常も白血病細胞における細胞死の抑制に関与していることが知られている.生存因子の欠乏による自殺死の誘導, あるいはサイトカイン併用による抗白血病剤の感受性の増強は, 白血病に対する生物学的治療として有効なものとなることが期待される.

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