著者
周 燕文 駒田 美弘 張 小麗 花田 基 東 英一 桜井 實
出版者
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.383-389, 1991

患児由来白血病細胞のモノカイン産生能を検討するために, 溶連菌製剤OK432刺激によるTNF-αの産生を検索した.正常末稍血中のTNF-α産生細胞は, OK432およびTPA刺激では単球であり, PHA刺激ではリンパ球, 単球両者であった.本研究では, ALL患児 (43例), ANLL患児 (18例), CML患児 (2例) 由来白血病細胞のTNF-α産生能について検索した. ALL43例中7例に少量のTNF-α産生を認め, うち4例がcommon ALL, 2例がundifferentiated type ALL, 1例がBcell ALLであった.7例中2例は骨髄系抗原を発現しており, 2例は1歳未満の症例であった.18例のANLLにおいては, M1の3例中2例, M2の3例中1例にTNF-α産生がみられた. M4の6例とM5bの4例では, 全例に高い産生が認められた.M5aの2例は産生を認めず, CMLの2例は少量のTNF-αを産生した. TNF-α産生は, 単球特異的なCD14抗原の発現と相関していた.小児白血病細胞のTNF-α産生は, 単球系への分化傾向を示す細胞に特徴的と考えられた.
著者
貝沼 圭吾 三谷 義英 大橋 啓之 淀谷 典子 本間 仁 駒田 美弘
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.S2_86-S2_86, 2011

症例: 心臓震盪は, 小児期から若年成人の競技, 遊戯などに伴って発生する外因性の院外心停止をきたす病態である. 欧米などでは主に球技により発症し, 自動体外式除細動器(AED)を用いた適切な心肺蘇生がなければ, 予後不良とされる. 今回, 本症を経験し, 発症時の映像, AEDファイルの心電図も含めて報告する.<BR>患者は14歳, 男児. 空手歴8年. 空手の試合中, 相手のパンチと膝蹴りが左前胸部に直撃した直後に, 心肺停止をきたした. 2分後に待機していた父親と医師による心肺蘇生, 4分後に3回のAEDによる除細動がなされ, 自己心拍が再開した. 発症13分後に救急搬送された病院で会話が可能であった. 以後, 後遺症なく経過良好であった. AEDファイルの心電図では, 心室細動が確認された. その後の精査により内因性の疾患は除外された. 以上から経過により心臓震盪と診断した.<BR>本症は, AEDを用いた適切な心肺蘇生が重要と考えられ, その対策について考察する.
著者
駒田 美弘
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC HEMATOLOGY/ONCOLOGY
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.77-89, 1994

白血病細胞を含む癌細胞が不死の細胞であることを示す明確な証拠は得られていない.ある種のサイトカインは, 白血病細胞の増殖を誘導し, さらにautocrineあるいはparacrineの機構に深くかかわっている.興味深いことに, 患児由来の白血病細胞を体外の培養液中に移すと, 短時間のうちに, クロマチン凝集, 核の断片化などの特徴的な細胞形態の変化や, DNAの断片化が認められるようになり, アポトーシス細胞死が誘導される.このことは白血病細胞が自殺死の機構を有しており, その活性化が可能であることを意味する.また, 白血病細胞は生存していくための因子 (生存因子) を必要とし, その因子の欠乏によりアポトーシス細胞死が誘導される.さらに, <I>c</I>-<I>myc</I>, <I>bcl</I>-2, 癌抑制遺伝子p53などの遺伝子の発現の異常も白血病細胞における細胞死の抑制に関与していることが知られている.生存因子の欠乏による自殺死の誘導, あるいはサイトカイン併用による抗白血病剤の感受性の増強は, 白血病に対する生物学的治療として有効なものとなることが期待される.
著者
栗原 康輔 堀 浩樹 小早川 雄介 坪谷 尚季 岡村 聡 世古口 さやか 出口 隆生 駒田 美弘
出版者
特定非営利活動法人日本小児血液・がん学会
雑誌
小児がん : 小児悪性腫瘍研究会記録 (ISSN:03894525)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.68-72, 2010-02-25

三重大学附属病院小児科外来を受診している小児がん患者と家族を対象に地域密着型のサマーキャンプを実施した.本キャンプの特徴は,地域の学生ボランティアが主体的にキャンプを運営していることである.開催地が近く,費用が安いこと,週末を利用した開催であることから多くの家族の参加があった.実施後調査では,患者交流を通じて頑張る気持ちや前向きな気持ちが参加者に醸成されていた.