- 著者
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川端 季雄
- 出版者
- 一般社団法人 日本繊維機械学会
- 雑誌
- 繊維機械学会誌 (ISSN:03710580)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.8, pp.T130-T141, 1984
- 被引用文献数
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衣料用布地の熱水分伝達特性を測定する新しい装置を開発したので, いくつかの応用を含めて報告する.この装置の基本的な機能はつぎのとおりである.<BR>1) 布の熱吸収特性の測定;この吸収は薄い1枚の銅板に熱を貯え, これを布の表面に接触させることによって開始する.この吸収に伴う熱流信号をローパスフィルタに通すと熱流量にはピーク値が約0.2sec後に現われる.このピーク値をqmaxと定義し布の温冷感触感に関係する量として記録する.この過渡法を用いて布の熱伝導率, 熱拡散率も測定できる.<BR>2) 定常法による布の熱伝導率の高速測定;平行板方式の測定を行うが, 平行板の1枚は薄いアルミニウム板でその温度を精密に制御し, かつ高速応答性を持たせている.2℃ の設定温度差を階段状に加えたときの応答は10secである.この高速性は布の状態に乱れを与えることなしに熱伝導率を測定することができる.例えば布のリゲインを変化させない.<BR>3) 布の保温性の各種様式による測定;布からの空中への熱放散, すなわち保温性の測定において, 熱損失を連続的に測定することができる.通常の保温性の測定―― ここではドライ法と呼んでいる―― は2, 3min以内に完了できる.応用測定の一つとして, 皮膚法を紹介する.水を多量に含んだ紙を熱板上に置き, 模疑皮膚とする.この上に布を直接, またはいくらかのすき間を作っておき, 測定する.この方法での熱損失測定から布の熱・水分伝達特性についての多くの情報を得ることができる.例えば羊毛の夏スーツ地はポリエステルのそれより涼しいなど明瞭に示される.このようないくつかの結果を報告する.