- 著者
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村上 英吾
- 出版者
- 横浜国立大学技術マネジメント研究会
- 雑誌
- 技術マネジメント研究 (ISSN:13473042)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.1, pp.14-26, 2003
本論では、横浜国立大学で大学院生を対象に実施したアカデミック・ハラスメントに関する調査をもとに、アカデミック・ハラスメントに関する先行研究を再検討した。主な論点は2 つある。ひとつは、アカハラの背景として「大学社会の二重性」にもとづく権力性の問題があるという点であり、もうひとつは、アカハラを性差別に限定するべきかどうかという点である。第1 の論点については、博士課程在籍者の最も深刻な被害経験をみると、学年が高まるほど被害の割合が高まることから、アカハラの背景として研究室の「風土」が問題であるという「疫学的」解釈に対して、権力性の問題がより重要であるという社会学的解釈を支持している。第2 の論点については、セクハラ型以外のアカハラ被害に関しては男女間の被害経験の有無に統計的有意差がないこと、加害者の女性比率が低いとはいえないことから、アカハラ被害は「性差別」問題としての側面に加えて、「性差別」にとどまらない問題を内包していることが看過されるべきではないことを指摘した。