- 著者
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一盛 和世
矢島 綾
森岡 翠
福田 智美
鴨川 由美子
- 出版者
- JAPAN ASSOCIATION FOR INTERNATIONAL HEALTH
- 雑誌
- 国際保健医療 (ISSN:09176543)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.4, pp.337-347, 2013
世界保健機関(World Health Organization)はこれまで、顧みられない熱帯病に含まれる17の特定熱帯病について、疾患別に対策戦略を講じるべく、専門家会議を度々開催し、1948年から2012年に開催された過去の世界保健総会では、実に66ものNTD疾患に関連する決議が採択されてきた。しかし、1970年代に提唱されたプライマリヘルスケア、2015年を達成期限として発表されたミレニアム開発目標(MDGs)など、世界における国際保健動向に伴い、従来の疾患別縦割りプログラムよりも、それまで「その他の伝染病」と呼ばれていた特定熱帯病をNTDとしてまとめて制圧することにより、より効果的に貧困削減、ひいてはMDGs の達成に貢献することを目指して、2005年にはNTD対策部を発足した。その後、2007年に初のNTD対策国際パートナー会議開催、2010年に初のNTDリポート発表、2012年にNTD各疾患を制圧するための指針として「NTDの世界的影響克服の推進-実施に向けたロードマップ」を発表、同年に製薬会社13社や資金・技術援助を行う米・英政府、ビル・メリンダゲイツ財団、世界銀行を含む22の保健分野の国際組織による「NTDに関するロンドン宣言」採択、2013年にNTDレポート第2版を発行、というダイナミックな流れを受けて、ついに2013年にジュネーブで開催された第66回世界保健総会で、疾患別ではなく「顧みられない熱帯病」として初めて、その制圧・対策に向けた活動の更なる強化を要請する決議が採択された。この決議により、NTDの2020年制圧・対策目標の達成に向けて、WHOと蔓延国、そのパートナーたちの取り組みがさらに加速していくことが確信される。