著者
一盛 和世 矢島 綾 森岡 翠 福田 智美 鴨川 由美子
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.337-347, 2013-12-20 (Released:2014-01-14)
参考文献数
12

世界保健機関(World Health Organization)はこれまで、顧みられない熱帯病に含まれる17の特定熱帯病について、疾患別に対策戦略を講じるべく、専門家会議を度々開催し、1948年から2012年に開催された過去の世界保健総会では、実に66ものNTD疾患に関連する決議が採択されてきた。しかし、1970年代に提唱されたプライマリヘルスケア、2015年を達成期限として発表されたミレニアム開発目標(MDGs)など、世界における国際保健動向に伴い、従来の疾患別縦割りプログラムよりも、それまで「その他の伝染病」と呼ばれていた特定熱帯病をNTDとしてまとめて制圧することにより、より効果的に貧困削減、ひいてはMDGs の達成に貢献することを目指して、2005年にはNTD対策部を発足した。その後、2007年に初のNTD対策国際パートナー会議開催、2010年に初のNTDリポート発表、2012年にNTD各疾患を制圧するための指針として「NTDの世界的影響克服の推進-実施に向けたロードマップ」を発表、同年に製薬会社13社や資金・技術援助を行う米・英政府、ビル・メリンダゲイツ財団、世界銀行を含む22の保健分野の国際組織による「NTDに関するロンドン宣言」採択、2013年にNTDレポート第2版を発行、というダイナミックな流れを受けて、ついに2013年にジュネーブで開催された第66回世界保健総会で、疾患別ではなく「顧みられない熱帯病」として初めて、その制圧・対策に向けた活動の更なる強化を要請する決議が採択された。この決議により、NTDの2020年制圧・対策目標の達成に向けて、WHOと蔓延国、そのパートナーたちの取り組みがさらに加速していくことが確信される。
著者
一盛 和世 矢島 綾 森岡 翠 福田 智美 鴨川 由美子
出版者
JAPAN ASSOCIATION FOR INTERNATIONAL HEALTH
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.337-347, 2013

世界保健機関(World Health Organization)はこれまで、顧みられない熱帯病に含まれる17の特定熱帯病について、疾患別に対策戦略を講じるべく、専門家会議を度々開催し、1948年から2012年に開催された過去の世界保健総会では、実に66ものNTD疾患に関連する決議が採択されてきた。しかし、1970年代に提唱されたプライマリヘルスケア、2015年を達成期限として発表されたミレニアム開発目標(MDGs)など、世界における国際保健動向に伴い、従来の疾患別縦割りプログラムよりも、それまで「その他の伝染病」と呼ばれていた特定熱帯病をNTDとしてまとめて制圧することにより、より効果的に貧困削減、ひいてはMDGs の達成に貢献することを目指して、2005年にはNTD対策部を発足した。その後、2007年に初のNTD対策国際パートナー会議開催、2010年に初のNTDリポート発表、2012年にNTD各疾患を制圧するための指針として「NTDの世界的影響克服の推進-実施に向けたロードマップ」を発表、同年に製薬会社13社や資金・技術援助を行う米・英政府、ビル・メリンダゲイツ財団、世界銀行を含む22の保健分野の国際組織による「NTDに関するロンドン宣言」採択、2013年にNTDレポート第2版を発行、というダイナミックな流れを受けて、ついに2013年にジュネーブで開催された第66回世界保健総会で、疾患別ではなく「顧みられない熱帯病」として初めて、その制圧・対策に向けた活動の更なる強化を要請する決議が採択された。この決議により、NTDの2020年制圧・対策目標の達成に向けて、WHOと蔓延国、そのパートナーたちの取り組みがさらに加速していくことが確信される。
著者
一盛 和世 矢島 綾 肥田野 新
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.107-112, 2010 (Released:2010-09-06)
参考文献数
7

近年、病気を媒介する蚊などの生物〈ベクター〉が注目され、その対策の重要性が認識されてきている。その背景には、地球温暖化や貧困など、地球規模の健康問題が国連のミレニアム開発目標(MDG)などでクローズアップされ、世界の関心がアフリカや熱帯、感染症などに向いてきたことがあると思われる。 世界保健機関(WHO)は2004年に「総合的ベクター対策管理に関する世界戦略枠組み(Global Strategic Framework on Integrated Vector Management)」として総合的ベクター対策管理(IVM)の基本概念を提唱した。また、2008年には「総合的ベクター対策管理に関するWHO声明(WHO Position statement on integrated vector management)」を発表し、IVMの概念とそれに関する世界の動きについて概説した。本稿ではWHOのイニチアチブで発表されたこの声明を紹介する目的でこれを翻訳する。 IVMとは、『与えられた資源を最大限に利用してベクター対策を行うための合理的政策決定プロセス』であり、「ベクター伝播疾病の予防と対策に対して大きく貢献すること」を目標とする。「総合的管理」の概念は、もともと農業部門における「総合的害虫対策 (Integrated Pest Control)」に端を発している。IVMの実施には、制度を整備し、規制の枠組みや決定基準を確立し、そしてコミュニティーレベルにも適用可能な手順を構築することが必要となる。また、異なる部門間の横断的な協働体制を支え、ベクター対策活動を可能とする政策決定能力と技術を確立することも不可欠である。 2009年11月に、WHOジュネーブ本部において第1回IVMステークホルダー(利害関係者)会議が開催され、世界各国のベクター伝播疾病対策プログラムや政府・国際機関、ドナー機関、研究者その他多くのステークホルダーが出席した。そこで、科学的根拠に基づいたIVMの政策決定をさらに強化するためのロードマップが策定され、その実施を支援するパートナーシップメカニズムの構築が約束された。
著者
一盛 和世
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.81-85, 1989-06-15 (Released:2016-08-26)
被引用文献数
2 3

ネズミマラリア原虫(Plasmodium yoelii nigeriensis N67)とAnopheles stephensi (BEECH)を用いて, 蚊の体長あるいは吸血量とマラリア原虫オーシスト数との関係を調べた。蚊の翅長とヘモグロビン測定法による吸血量の間には有意な相関がみられた(r=0.579,n=54,p<0.001)。しかし, 翅長とオーシストの数の間には有意な相関はみられなかった(r=0.180,n=74,p>0.05)。さらに, 体重差によって吸血量を測定し, 個々の蚊の吸血量とオーシストの数との関係を調べたが, この相関も有意でなかった(r=0.120,n=10,p>0.05)。